「あっ!随分痩せたねえ!」
久しぶりに再開したあっちゃんにビックリされた。
「そうかな?あんまり気にしてないから分からないけど、人にはよく言われるよ」
「前回会ってからまだ3ヶ月しか経ってなのに、それから比べても随分違うーー」
人から言われて、やっと気付く。
こまめに測っていた体重も、最近は全く気にもとめず、日ごとに細くなっていく足に、ただ驚いていただけだったから、「へー」と他人事のように返事する。
一年前からずっと走っていて、今年は、春頃から急激に距離が延びたせいで、消費するエネルギーが増大、脂肪は、減る一方。札幌マラソンが近くなった夏あたりから、「5キロ」が、軽めなぐらい。汗だくになって、毎日8キロから10キロ走れば…誰だって痩せる。
持久力を付けたくて、肉を必死に食べた。
貧血にもなってしまったし、タンパク質摂取には、結構気を使っていた。
痩せたいなんていう気持ちで走っていた自分はいつ、いなくなったのだろう?
マラソン完走のため、ただひたすらトレーニングしている、1ランナーとなったから、食事を減らして、フラフラしている場合ではなかった。
「完走」だけでは飽き足らず、タイムも伸ばしたい欲望が出てきて、今は、それはもう必死なのである。
暑くても「走りたくない」なんて思わない。
猛暑日の夜も走っていた。
その結果…歯茎の膿爆弾で、オタフク女になってしまった。
オタフク状態が長引いてしまい、食事がきちんと取れなかった。
その間明らかに、ガクッと体重が落ちている。
「また更に引き締まったね!顔も小さくなったし」
「走っているから、やっぱり違うよね!」
この夏は、あらゆる人からの称賛の声を戴いた。
本当に走っている間は、素直に受け取っていたけれど、しかし…本当は…。
カッコよくランナーの身体へと変貌を遂げたのではなく、痩せた原因は、「歯の膿」のせいだとは、口が裂けても言えなくなった私なのだった。