10月6日水曜日。43日目。

色んなリハビリの大事な時期なのに、

「もう限界だ!一旦帰らせてくれ」

と、段々騒ぎ立てるようになってきた。

何かをさせられている時は良いけれど、ひとたび部屋の中の生活では、ベッドの上だけになり、その制限が余程嫌らしい。

確かに誰もが嫌だけど、この時はまだまだ自宅で生活できるレベルにはない。

本人を見るまで、私も分からなかったけど、身体の機能などは、まだまだ。歩くのもままならなく、何より、時折り見せる精神的に不安定な面を見る限り、一人家で待たせるのは、どうも心配。

病院の先生にも「精神科に診せる」と言われて、本人は憤慨していたけど、私はその必要はあると思っていた。

しかし夫は諦めず、

「気の触れた夫婦を一緒に演じて、病院を追い出されよう」

と具体的な作戦を持ちかけるほど追い詰められていて、とても危険だった。

話して退院の許可は降りない事は本人も分かっているので、私にヤバい人を演じさせる事までさせて、「追い出される」事を本気で実行しようとするとは…。

これはコロナウイルスによるブレインダメージなのか、本人の素性なのか…。

命が助かってホッとしたのも束の間、まさか「異常者妻」を演じさせられるかもしれなくなるなんて、思いもしなかった私である。