私は聖子、明菜の全盛期真っ只中に、育った。

お二人共、長い間歌手を続けていらっしゃって、私が大人になってからもまだまだ馴染みがある。未だにカラオケで歌うし、お風呂の中で歌う歌として、数えきれない位登場した。

「少女」にとって、アイドルの真似事は必須。

聖子カットが圧倒的な周りに対し、私は明菜カット。

まあ、たまたまロングヘアだったからなのだけど、当時の中高生としては普通で、そして、無難であった。この時は。

学校を卒業してからも、流行りは追いかける。

「みんなと同じ」では嫌だ、という考えではないので、またTVの女優さんの真似をする。流行りはすぐに移行し、「ワンレン」や「ソバージュ」の人で溢れ返っていた。「ソバージュ」に変えるとき、映画「プリティ・ウーマン」のジュリア・ロバーツのように、と注文を付けた。

恥ずかしげもなく平気で言ってのける私に対し、美容師さんは「なれるわけ無いだろ」と内心思いながら、パーマをかけてくれたに違いない。

そして、やはりそれは正解で、プリティ・ウーマンではなく、そこにいたのは大槻ケンヂ。整髪料で整えずにいると、髪量が多く広がってしまうので、ヘビ女ゴーゴンとも言われた。似ているのが妖怪だと嫌だから、せめて人間にしたい。

ソバージュを断念して「ワンレン」にしても、五輪真弓だの武田鉄矢だの、20代女子としては、ちょっと嬉しくないリアクション。

顔は全然違うのに…私は何か「当人」を思わせる何かが、あるのだろうか。

長い髪が好きだったから、ロングヘアを極めようとしてたけど、思い切ってベリーショートにした時、とうとう「和田アキ子」と言われ、完全にキレる。 

そういう事なので、芸能人似にしてもらう希望は捨てよう‥、ナチュラルに、「おまかせ」でもしてみるか。

短く切った髪が、また長くなった何年か後、誰かのように、と告げずに、パーマ

をゆるめにかけてもらった。

パーマってゆるすぎても、だめなんだな‥スタイリングが下手なのもあるけれど、

なんともキマらない。

そして、このナチュラルパーマヘアは、「又吉」や「ロッチの中岡」と言われるようになり、大笑いされてからは、長い髪を縛らずにそのまま下ろすスタイルをキッパリ辞めて、今に至るのである。