9月29日火曜日。36日目。
I大病院にお世話になり、命を救ってもらって20日間。とうとうここを退院することになった。
退院はするが、まだまだ家には帰宅出来ない。
次に決めていただいた病院は、J病院。コロナ患者のリハビリを請け負う病院である。夫が連絡してきた。
「明日、介護タクシー使って病院移るんだって。来れる?」
行けません‥仕事ですから。
「じゃあお金がないって言うから持ってきてくれる?」
えっ!!
そうか‥お金持たせてないな。
「今日は仕事終わってからでいい?」
夜に病院に行くことになった。
お金は、足りる。変な酸素発生器買ったとか言うから、代引の用意していた。
すると、
「荷物でーす」
えっ!!ナーーニーーー⁉今日着くんかい!!
「38000円だけど、大丈夫?」
職場に着払い指定で運ばれてきた、酸素発生器。出入りのヤマト運輸のやまちゃんの不思議そうな顔。
「ハイ‥コレ‥代金」
「どうしたの?競馬、買った?」
いつもヤマちゃんとは競馬や競輪の話で、アレが来るだのコレはこないだの、ごちゃごちゃ話している。
でもこの時は詳しい話してたら明後日になってしまうので、適当にあしらって荷物を受け取った。
お金が、すっからかんになった。帰宅後、またお金をおろして、そのままI大病院に向かう。近くのTimesに停めて、病院の職員に指示された通りに、いろんな通路を、迷路のように、てくてく歩く。
エレベーターの指定の階についてドアが開くと、そこに男性職員が待っていたので、私はビックリして「ワッ!」と声を出してしまった。
この先にはもう、一歩も行けません、という感じて立ちはだかっている。
私がイレギュラーに登場したのだから申し訳ない。
「お願い致します」
とお金を手渡して、私はもと来た通路を間違わないように注意して病院を出て、やっと家に帰った。
これからせん妄が全開になると知らず、私は安心して眠りに就いた。