9月28日月曜日。35日目。
今日も病院からの説明の日。
コロナ感染者ではないから、その後の治療はリハビリへと変わる。
お休みだった私は病院に出向き、また特別に面会させてもらった。
その週の札幌の感染者も一桁という理由があったからだとは思うが、大病院が機能しなくなると大変なことになるので、まだ面会にも慎重だった。
夫のいる場所は、同じ救命救急病棟だけど、ICUらしきフロアではなく、一般病室に近いところだった。
部屋は二人部屋。酸素がまだ必要なので、大きな装置が側にあり、そこから鼻へ繋がっている。
お隣の方は夫よりも高齢で、意思疎通ができる状態なのかとうか…ずっと寝ていらっしゃった。明らかに夫よりもまだ、回復には時間が、かかりそうに見える。
夫の方はベッドの上に座っていて、落ち着きがない様子。食事は「噛んで食べる」楽しみのない、流動食に毛が生えたようなもの。それでも口から食べる喜びを噛みしめているようで、
「毎回ちゃんと完食していますよ」
と看護師さんもおっしゃって、安心させてくれた。
ここに私が来ただけで、夫も落ち着いた。医師からももう命に関わる状態からはほぼ脱した旨、説明を受けて、ついにリハビリのための転院が決まった。
帰宅して、また夫が次に会いにくるのはいつなのか、とすぐラインが来た。
病院に面会に行くのは、出来ないという状況が、イマイチせん妄のため理解できていない。
「隣の家の人の家族は、毎日来てるよ。だから、また来ればいいよ」
などど言うのだ。
隣の人はお話出来る状態にないように見えた私は、家族がワイワイやってくるわけがないのはわかっていたが…。
「もう隣の人、お蕎麦食べてた。毎日、ズルズル音がしてうまそうに食うんだ」
ナヌ?蕎麦?
お蕎麦なんか食べられる状態にはまるで見えない。もしかしたら…。
美味しそうなお蕎麦を啜る音が、まさか痰を吸引する音だったとしたら‥
「それはね、痰を吸引する音だよ」
とは言えなかった私なのである。