9月27日月曜日。34日目。

「酸素発生器を買ったから」

次の日のラインの初っ端はこれだった。

「クレジットカードの期限が、切れていたから、代引になった。頼むよ」

ナニーーー!なんじゃ、その装置は。

「酸素が2%の世の中になったんだ」

……。

「やばいんだ。なんとかここは酸素発生器で60%に保っているけど、帰ったら酸素が少ししかない」

「家と事務所(仕事の)と、あと、それぞれの車の中にもあったほうがいいな」

「だから4台いる。全部で10万以上にになっちゃうからとりあえず一台買った」

ひ~!なんてこったい。そうか、これは「せん妄」だな。せん妄は「認知症」に近いもの。否定したり、取り合わなかったりしてはいけない。

「慌てないで、もっとよく調べてからにしようね」

「まず、私に言ってね」

子供に分かりやすく言うように、伝える。

変な話してるだけならまだ良かったんだけど‥買い物などやられちゃうと、阻止するのに苦戦しそうだ。

おかしなスイッチが入ってしまった。きっとこれきりではないのだろうし、台風の目が、どんどん大きくなってきそうで怖い。

「来週は、凱旋門だな。スプリンターもある」

‥あれ?これは合っている。競馬のレースのことなのだけど、現実の出来事を正しく理解してくるときもある。

せん妄と正常が入り混じるこの状態はまだまだ続く。台風のように、2号、3号と、次々現れるのであるが、天気図みたいなのは存在せず、予測不能。

嵐は、にわか雨のように、突如やってきて、私はその都度被災するのであった。