9月26日、日曜日。33日目。

夫からのラインはジャンジャンやってくる。

リハビリになっているのかもしれない携帯の操作。面会に来たら必ず会いに来てくれ、食べ物持ってきてくれ、硬めのゼリーがいい、本物のジャムパン買ってきてくれ、などなど、要求ばっかり。

特に食べ物に関するものが多い。

まだ嚥下がまともに出来ないけど、これだけ食欲があれば大丈夫だろう。

実際に、食べられるようになったら、恐ろしい速さで回復しそうだ。

人間、口から食べ物を食べられれば何より。

携帯をいじるしかやることない夫。しかし、寝かされていた時と違って、ぼんやりしていた思考が、回復しているのは間違いない。

間違いないのだけれど…。

「夢をたくさん見た」

夢のシーンが強烈過ぎて、現実よりもそちらのイメージが本物だと思い込んでしまっている。

釣り仲間の高橋さんに、メッセージ。

「病院の横に川が流れているから、そこで釣りをしよう」

札幌の中心地にある、大病院の横に川?

いや、ないだろ。

なのに高橋さんたら、Google Earthで、調べてしまった。

「だって、携帯のメッセージが、いかにもホントっぽい感じだったから〜」

I大病院の横に川なんてないですよ!高橋さんしっかり!

こんなのはかわいいものだ。そして、これで終わらない。

これから更に、せん妄が、猛威を振るうのである。