8月。

走り始めて4ヶ月になる。

NHKのみんなで筋肉体操や、膣締めるだけダイエットのストレッチをずっとやっていて、「やり続けた自分に」酔いしれていたら、ガッチガチの筋肉おばさんになって慌てて終了する。

「昨日も走ったの?」

「はい!」

走っていることを言い触らしているので、その反響は大きくて、鼻の穴を広げて「週5ペースで走ってます!」と聞かれていないのに、答えていた。

あちこちで称賛されるから、さあ、ご一緒にいかが……と矛先を向けると、ガラッと風向きが変わる。

「絶対無理」

ほぼ、口を揃えられる。

私もついこの間まで、「そっち」側だった。当たり前か。

ではなぜこんなにランナーがいるのか…

「そこに山があるから」のように「そこに道路があるから」ではあるまい。

ランニングにハマると、あまり挫折する人がいないのか。コツコツコツコツ地道に距離やタイムを延ばし、一人だけほくそ笑む。

相手あっての競技だとか、勝敗のための努力も素敵だけど、とにかく自分との戦い、という点が私のお気に入り。

それは、寒いけど今日も走るか、や、歩くのを少しでも減らせるか、など、やりたくない事に打ち勝てる度、自分を更新出来た気がする。

ペースを邪魔されない自分だけの世界。きっと、私みたいな人が、ジワリジワリと増えてきたに違いない。

妄想で頭が忙しいうちに、もう1キロ走っていた。

橋を渡り、私が半月板の手術を受けた病院の手前を通過するとき、何とも言えない異臭がした。

臭い!!ドブ臭か!

たちまち酔いしれながら走る自分は目を覚ます。そこだけダッシュせざるを得ないので、ペースが!乱されている。さっきまで思ってた事と違う(笑)

初めは公衆トイレなのかと思った。暗くて建物がよく見えない。

「公衆トイレにしては小さいかも」

帰って調べたら、地下鉄の換気塔だった。湿度が多くなって来たので異臭に感じたのだろう。何百回も通過して来てるのに、初めて気づいたなぁ。

新発見にドキドキしている。

ドキドキしてても、血圧は安定してきた。これは健康診断が楽しみだ。

そういえば、私はいつもレントゲン検査で、C判定される。心臓病でもないなのになぜこんな判定なのか、先生にクレームを付けた。私はランニングする前からずっとバドミントンをしている。ハードな動きなため、先生は「スポーツ心臓

」であろうと言う。

「では、分かっているならこれはなかったことに」

要精密検査の通知を先生に、突っ返す。

「シルエットだけではその判定になるのよ」

「精密検査受けてみて」

……んぐぐぐ。健康なのに精密検査…全然やりたくない。

今年は血圧は正常になったものの、レントゲンはやはり、C判定であった。

また、要精密検査の通知が来て、頭を悩ませている。