へこカバ...音楽編 とその次のつまみ食いコンサート... を読んで、「あれ、後半悩まされたという衝動 は?」と思った人もいるかもしれない。

 

そう、あの恐ろしい衝動。

ほんとに手すりに乗って滑ったらそのまま5階から1階まで転落して大惨事になるから、皆さんに迷惑かけてはと耐え忍んだが...

いやだから転がり願望も飛び降り願望もないのだが。

あの手頃感!ううっ

しかもこの時私の席は通路横。

つまりそのままちょっとぴょんと跳んでみたら...後はゴロンゴロンと...

 

どうにも衝動が抑えきれなくなりそうになったのが、末長君の後。

と言っても、別に「死の舞踏」を聴いて触発されたわけじゃないよ。

実際「死の舞踏」の時はキャーキャー喜んでいて衝動も忘れていたのだ。

あ、見た目は水のように静かにしてましたよ。

(...それでも「死の舞踏」ってキャーキャー喜ぶような類の曲か?)

ああいうのが好きなのだ!

ああいう激しい演奏なら。きゃーきゃー

(...やっぱりずれてる奴...)

 

そこで席を立てば良かったのだ!

しかし最後に「アイーダ」行進曲が控えているとなれば、留まるしかない。

そして...恐怖の衝動の時が...

...うーむ、今日はホラー調だな。

(...ホラー?)

 

「死の舞踏」に続くはヴェルディの歌劇「椿姫」から3曲(?)

まずソプラノのソロ、次がソプラノとテノールの掛け合いみたいな歌、その次がまたソプラノのソロ...だったかな?

殆ど聴いちゃいねぇ、鳩ぽっぽだったからよく覚えてないけど。

いや正確には聴いていられなかったのだ、ホラー故に。

(...)

 

私は元々歌曲が好きでない。

特にオペラは嫌いだ。

興味ないから聴いたことないが、声楽が好きでない上、オペラはどれも筋がバカバカしくてやってられない。

そんなもんに時間を割く気にはなれない。

(オペラ歌手やファンが読んだらどうするんだろう?)

人の趣味はそれぞれなんだってば。

人間の声を歌でなく楽器として使ったらまた違うんだろうけど。

 

でもせっかくの機会だからと次の歌曲も耳を傾けてはみた。

前向きなのだ!

しかし...

素っ頓狂な金切り声(こら!)を聴いてる内に何やら背筋が寒くなるような不快感が...

と共に何だかどうしても席から跳び上がりたくなる衝動が沸き上がってきた。

こうなるともう歌なんて聴いちゃいらんねぇ。

 

向かい側、つまり右翼席の方を眺めながら、落ちるとしたら床ではなく下の1階席だなーとか、空席が多いからその上に落ちるなら下の人に怪我させなくて済むなーとか、でも人が落ちたらコンサート中止になって大迷惑だよなーとか...

(...)

いやほんのちょっと位ぴょんと跳び上がってみたくなるよ、あの低さと傾き具合を目の前に突きつけられていたら。

(...)

 

ところが、だ。

耳に入ってくる声楽である事実に気がついた。

2曲目(?)、ソプラノとテノールが同じ旋律を違う音程で掛け合いのように交互に歌うのだが、ソプラノでは「ひぇぇぇ!」と時折寒気がするのに、テノールの方では伸びやかで厚みのある声に「ほぉー」とそれなりに感心するものがあったのだ。

 

音程が違うだけで同じ旋律なのに何故だろう?とまたしばし耳を傾けて納得した。

ソプラノの人はやたらとビブラートを効かせていたのだ。

ビブラートなんぞと言うと大層なもんだが、あれは結局コブシではないか。

(コブシ?)

演歌嫌いの私 にコブシを聴かせるたぁいい度胸じゃねーか。

などと一発かます余裕もなく、怒涛のコブシ攻撃に怯えるばかり。

(↑怒涛のピアノ演奏は好きだが怒涛のコブシは恐いカバ太郎)

 

他方、テノールの人はコブシを一切効かせず伸びやかなのだ。

この違いは大きい。

ただでさえソプラノというのは素っ頓狂な金切り声なのに(...)、そこにコブシを効かされては...耐えられる筈がないのだ。

(おい...)

 

びよよよよーん、とソプラノがコブシを効かせる度、

(↑カバにはコブシがこう聴こえる)

こちらは「ひぇぇぇぇぇ!」と衝動に突き動かされ、ゴロンゴロンしたくなるのを理性で止める、の繰り返し。

びよよよよーん、「ひぇぇぇぇ!」、びよよよよーん、「ひぇぇぇぇぇ!」、びよびよびよよーん、「ひぇひぇひぇぇぇぇ!」と、必死に闘う孤独の戦士であった...

(どう考えても変態としか思えんが...)

何を言う!

お陰で益々体力使い果たしたのだぞ。ぐったり...

(...)

 

だが...人の好みはそれぞれ。

きっとああいうコブシが快感だという変態もいるのだろうなぁ...

(↑自分を棚に上げて他人(ひと)を変態扱い)

コンブダシは好きだけど。

(何の意味がある)

いえ...

 

でもお陰で私は声楽でも男声はまあ聴けるのだとわかった。

そういえばシューベルトの「魔王」は結構好きだったな...

悲しいかな、女声は厚みがなく、特にソプラノはキンキンするような不自然なのが多い。

出す方は大変なんだろうとは思うけど。

そういえばハードロックでもか細い女声だと様にならないな...

(↑1部のハードロックは大好きなカバ太郎)

 

ソプラノでももっと伸びやかでコブシが効いてなければ聴けるのだとも思う。

昔キャスリーン・バトルというクラシックではまだまだ珍しい黒人女性のソプラノが大変な人気を博したが、彼女の歌声は包み込むような伸びやかなものだった。

実は声楽が嫌いな私も彼女の歌は2~3曲だけテープに入っている。

でも曲が悪いよ、声楽って大抵。

(...いいのかなぁ?)

 

さて最後のヴェルディ「アイーダ」より行進曲は...期待してただけに正直ちょっとがっかりだったな...

だから「死の舞踏」の後出てしまえば良かったと後になって思ったわけ。

そうすればコンブダシに苦しめられることもなかったし。

(...)

 

あの曲って合唱入りなんだね。

私は器楽曲でしか聴いたことがなかったんだけど。

合唱の方がソロの声楽よりはずっとましだが。

コブシ効かせる合唱団もないだろうし。

集団でコブシ効かせたら恐怖だろうな...

(↑コブシ恐怖症になったカバ)

 

でも何か、楽器だけの方がいいなー、あれは。

器楽曲の時と曲想も少し違って何か平坦な感じ。

盛り上がりに欠けるというか...

でも合唱入りの方がオリジナルなんだろうなぁ。

よく知らないけど。

トリだというのに何かがっかり...

 

やっぱりクラシックは器楽曲に限る!と再発見した孤独な戦士、カバ太郎でした。

待ってー、石は投げないでー!

孤独な闘いからやっとの思いで生還して来たんだからー。

(↑変態故のムダな闘いでムダに消耗した変態)

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