王様の耳は驢馬の耳 | 王様の耳はロバの耳

王様の耳はロバの耳

普段口には、しないで
済んでいることを
こっそりと、呟いて…

人は、誰もが
愚かしくも、
あまりにも、簡単に

与えられ具えていた、
徳や尊厳を自ら失くし
迷ってしまうことを
私が忘れぬ為に書く
普段は口にしないこと。

夢を見た。


気づけば

旅館とおぼしきところの

和室。


和室の片隅には

着物が重ねて

置いてありました。


どうやら

館内着の浴衣として

置いてあるモノと

説明を受けて


わたしが手に取ると


他にも若い女性の

三人組がやってきた。


女の子達は

かしましく

着付けの人を

呼ばなくちゃと

わいわい。と

騒ぎながら店員さんを

探しに行った。


旅館の人は忙しそうで

そんな中でも

女の子達に

着付けを指示する

声が飛ぶ。


部屋には

着付けの仕方が

簡単に書いてある

プリントも置いてあり、


わたしも

帯の結び方を

途中までしか

覚えてないけれども


プリントがあらなら

折角だから

自分でやろうと


浴衣を手に取り

着ようと試み


鏡を見なくても

帯の下の

なんてゆうのか

下帯を上下結んで

着物の裾の高さを合わせ


鏡の前で

帯を結ぼうと

鏡の前に立つと


なんと 

男モノ。


もう一度選び直して

下帯結び

また鏡の前に立つと

シマチョゴリだったり


浴衣ではなく

羽織だったり

羽衣だったり


お店の人を呼ぶと

大阪のかしましい

大物女芸人さんが


若かりし頃の姿で

ご登場。


わたしが

どうなっているの

でしょう?

女性モノの浴衣は

何処に置いているのですか?と


店員を呼んで

すいません。と

クレームじみたことを

つけてみると、


相手は第一声の返答で


先に、大衆演劇の

役者の衣装が置いてあるから

触ってはいけない。と

注意されたところから

あんた取ったんちゃうん?と


驚くようなことを

言われました。


せかせか

まくし立てる

機関銃のように

こちらを責める相手に、

なんとか


そんな訳はないですよ。と

言い返すと


まあええわ。と

横目でこちらに

一瞥をくれて


そや、と手を叩き


大きな声で他の人に

指示を出してゆく。


なんとその指示が


この人、

着付け出来るらしいから

あの女の子たちも

この人に着付けして

貰ったらいい

忙しんやから。と


耳を疑うようなことを云う。


呆気にとられた

わたしは

そんな相手の出方のおかげで

涼やかな風に吹かれ


勢いに押されることなく

いつもの自分を取り戻し

ニッコリと相手に向かって 

微笑んで


凄いですね。

転んでもタダで

起きないというか…と


女性ならば

皆が、当たり前に

やってのけるだろう


派閥の違う女性に

接する時のような

あくまでも

女性らしく微笑みながら

接すれば


相手も同じ女性なので

やんわりニコリと

女性らしく


それでは、と

微笑み返して

その場を後に立ち上がる。


そんな相手のありようが

少し、

腹に据え兼ねたわたしは

最後に一言


そんなに若い頃の

この関西大物女性芸人さんには

なんのことか

分からないだろうけれども


どうぞ

犬を大事になさって 

くださいね。と


去ってゆく

彼女の背に向けて

陰険なことを

思って事足りて


口を噤んで

こちらも澄ました顔で、

立ち上がり

背中を向けて


その場を後に

着付けに赴く

夢を見た。


結局、着付けは

出来ぬまま

女モノの浴衣も

見つからず目が覚めた。


何故だか

女性ならば

誰もが、

公衆トイレ等で

たむろしている女子を

相手どり


行うようなことをした

さめざめとする。

夢を見た。


そうした他者の

成っていない振る舞いに

女性らしく応じる姿は


意を同じくするような

女性が見ると

小気味良いらしく

親しげによって来る。


そうして寄って来る者に

優しく微笑み返して

相手の言い分に

耳を傾けたりすると


すれ違う時に

親しげに挨拶を

交わすような

間柄に成ってゆく


不思議なものだな。と

よく思う。


わたしは

未だ、どちらにも

片寄ってはいないのに。


中には

わたしが

小気味良い真似を

相手にしてくれた。と


肩を組んで来ては

耳障りで不快な話を

押し売りしては

同意を得ようとするような


餓鬼の使いのような者も

現れたりする。


そんな餓鬼の使いに

接しては

息苦しさを感じる。


思い込みが強く

依存性が高く

厚かましく

無礼なことに

断りもせず勝手に


人の名前を

アチラコチラに

出すんだろうな。


傍若無人に振る舞って

勝手に墓穴を

掘る真似をして


こちらが味方し

助けてくれぬと知れば


親しくもないのに

裏切り者のように

言ってくる。


肩を組んで

寄って来た時点で


わたしは

わたしが小気味よく

袖にしたような相手に

同情し、肩入れしたく

成るのにね。


いきなり寄って来て

肩を突然組んで来て

耳元で耳障りで不快な話を

言い募るだけ言い募り

自分は気分を良くした。と

満足そうに


何かあれば

力に成ると言い残し

朗らかに去ってゆく者の

背に向かって


わたしは何を

思うのだろうか


冷ややかな

涼風に吹かれて

わたしは、

その背をまた見送って

 

わたしと云う

自分を取り戻せたように

感じては


この世のソコにて

そのように

一人立つ

わたしを確立してゆくのだろう


自分とは違う人に触れては

今、ソコで

在りたい自分のありようで

一人立つことを覚えてゆく。


トイレの前でたむろっていた

女子の一人が一人の時に

たむろしている間には

無関心だった周囲を気にして


エレベーターで

降りる階を

訊ねる姿に

ホッコリと


肩を組んで来た者に

感じることの

出来なかった快い

温もりを感じては


今、ソコに

そのような在り方が

出来ている

わたし自身の至らなささえも

愛しく好ましく感じてしまう。


人間らしい人が好き。

人間らしく在る人によって

わたしは今、生かされて


支えられ

共に等しき試練に

其々が打ち込んでいる

最中だね。と

 

なんだか嬉しく

温かく心強く

感じては


そのような存在が

この世に等しく在ることが

只、只、とても有り難く

嬉しく喜ばしくて


わたしはこの今生にて

自分とは違う人に触れ

出会うことが出来る者に

成れたんだなぁ。と


これ以上の幸いも歓びも

もう無いことを知る。


在りたい自分で

在りながら


自分とは違うモノに触れ

一期一会の出会いに

気付いては


丁寧に丁寧に扱って

斯様にも

足りることが

出来るのだなあ。


人として生を受けた者が

この世にて、

どのように、在ればよいのか

示され習えるモノが

既に在る。この事実。


畏敬の想いに

受けとめれぬ程、

深く大きな愛情を

畏怖し畏れぬ者など

居ないのかも知れないね。


恥を知り

恥を知り

ゆっくりと

ゆっくりと

涙流しては


一つ一つ受けとめて

深く大きな

温もりに包まれて


涙堪えることもなく

涙溢れぬこともなくなった時

人は何をソコで想うのだろうか

 

人それぞれに

人それぞれに

人は何かを想うのだろう


そのどんな想いもが

後進にとって

かけがえのないものであることは

間違いない。


命ある限り

取り零しを減らし

たくさん受けとめて

ゆけるモノでありたいなあ。