王様の耳はロバの耳 | 王様の耳はロバの耳

王様の耳はロバの耳

普段口には、しないで
済んでいることを
こっそりと、呟いて…

人は、誰もが
愚かしくも、
あまりにも、簡単に

与えられ具えていた、
徳や尊厳を自ら失くし
迷ってしまうことを
私が忘れぬ為に書く
普段は口にしないこと。


ある時、病に冒されて
高熱に 魘され 生死をさ迷う。

魘され 魘され 悪夢のように
魘されて 魘されて
誰かの 身体に 触れながら
誰かの 声も 自分の思いも
届かず 魘される日々を 送る。

目を 開けたつもりでも
何をも 見えずに
熱のせいだ。と 魘されて

病が 引いて
身体が 楽に なると共に

あれ?熱に 魘された時のまま
何も 見えない。
何の 音も 聞こえない
近くに 誰かが 居て
自分の声が 届いているかも
わからない。

自分の手に 触れる手がある
だけれど 見えない 聞こえない
声が 届いているかも分からない

字すら 書けない 年頃に
ある日 突然
そのような 状態に 陥ったなら

わたしは、どのように
あれただろうか?

それを想うと 
ヘレン・ケラーを 偲び

聾唖の友達を 想い出す。

聞けない言葉を 話すのは
とても 難しいことを 思う。

友達は 微かに 聞こえるらしく
言葉も 話せたけれども
よく聞かねば 分からない。

その度に この子には
こう 聞こえているんだなあ。と
思ったことを 想い出す。

そうして 音の聞こえない人が
シッカリと 発音する姿に
いつも その努力が 窺えて
敬服する想いが 湧いて
恥ずかしく 思う。

話せることの 有り難み
聞こえることの 有り難み
見えることの 有り難み

歩けること 出来ること
それを 見る度 恥を 知る。

そうして偲ぶ この朝は
苦手な蝉の鳴く声も

スーっと 耳に こころに、
溶けてゆき

普段 見えることに 
依存する わたしも
耳に こころ 傾ける

耳に こころ 傾け 澄ませば
触れる 音から 何かを 偲び
澄んでゆく 
己の こころに 気付かされ

ああ 有り難く 想う