王様の耳はロバの耳

王様の耳はロバの耳

普段口には、しないで
済んでいることを
こっそりと、呟いて…

人は、誰もが
愚かしくも、
あまりにも、簡単に

与えられ具えていた、
徳や尊厳を自ら失くし
迷ってしまうことを
私が忘れぬ為に書く
普段は口にしないこと。


夢に
亡くなった父が
出て来た。

私は、父を引き取って
一緒に暮らしはじめた。

父と一緒に
近隣を歩いて
飲みにも行った。

父がジョッキ2杯で
酔うのを見て
年をとったな。と
思った。

次の日、
仕事から
帰ってくると

父が落とし物を
したと云う。

一緒に付近を探して
失くしたモノを
付近のお店の人が
預かってくれていて

父にこの付近は
善い人ばかりでしょと
伝えた。

また次の日
私は仕事帰りに
偶然、懐かしい人と
出会い

久しぶりだから
飲みに行こうと
約束して
家に帰ると家が
散らかりまくっていた。

夢の中の私は
父に向かって

こんなことをするなら
出ていって!と

相手の状態を、
危惧することもなく
いきなり
言い放った。

するとまあ、
夢の中の父は

そんなことを云うなら
今まで
父がしてきたことを
返せ!と

言ってきて、
驚いて、私は
目を、覚ました。

情けなくて
泣きたいでしょうね。

娘に、そんなことを
言われたのも、

恥辱、汚辱、屈辱
自らが慰めで
仕方ないからと
咄嗟に、

そんなことを
自らが、
言い放ってしまっては

情けなくて
悔しくて
泣きたくて
たまらないでしょうね。

現実の私は
そんなことを
何かをして貰ったと
思う相手に対しては
言わないから

余計にね、

老いばかりではなく
自分の理想の在り方が
今、出来ないことは
誰にとっても、

情けなく、不甲斐なく
とても悔しく、慰めに
虚しく感じることだろう。

そんな自らが抱える
悔しさを

誰にも分からぬ
自分ばかりの悔しさと、

思ってしまう者は

日頃、思い遣り
慈しみ、温かく
快い、豊かな心をもって
他者に施すことがなく

自らが、自分の
体裁、体面、世間体のために
自らが、し易いことだけをして

それさえも
自らは、本当は
こうしたかったけれども
我慢をして

誰かのために
そうしなくちゃと、思って
そうしてやった。と

自らが
日頃から
積むべきモノを過って

自業自得 因果応報に
己のことを苛んで

自分本位 自己中心的
自意識過剰 自己主体の
エゴに欺瞞を積み重ね

この現実世界で
カンダタのように
泣きながら憤り

雲間に隠れるモノを
恩知らず!とでも
叫ぶのだろう。

他者に向かって
吠えるほど

言わずに
済んでいたことが
溢れ出て

そんな自分が
情けなく
泣きたくなる程
悔しいけれど

もう自分の力では
そんな自分を救うことが
敵わぬように感じてしまう。

己のこの世のソコでの
有り様さえも

己がこの世で口にする
一言一句さえも

自らが制すること敵わずに
人は一体、
何処に流れゆくのだろう

自らが自らの
新たな業を生成し
業の報いに追われ
雁字搦めの囚われ人が

情けなくて
泣きたいほど
悔しくて

他者に救いを求めるような
侘びしく、寂しいモノへと
己自らを貶める。

誰もが、
同じ、条件下で
この世界に生きている

それを忘れてしまうことは

己の弱さから目を反らし
強がり傲り
要らぬ業に罪を
自ら犯している人の
この世の有り様だろう