黒川博行は、大阪のアウトローを書かせたら一番の作家です。

作品に出てくるアウトローには、どこか憎めないところがあります。

それを追う刑事も、どこかユーモアを感じさせるところがあります。

 

それは、作品の舞台が大阪で、登場人物が大阪人だから。

舞台が新宿歌舞伎町では、全く物語が成立しなくなるのです。

(「新宿鮫」が食事の支払いを賭け、コイントスする姿は想像できません)

 

黒川博行の作品で好きなのが、「疫病神シリーズ」。

イケイケのヤクザ幹部=桑原、ダメ建設コンサル=二宮のコンビが、

様々なシノギ(収入)を得るため、悪党とわたり合うストーリー。

 

桑原が所属する「二蝶会」というヤクザの組事務所があるのが、

大阪市都島区の毛馬(けま)という設定になっています。

 

毛馬には、淀川の船舶通過のために水位を調整するために、

1907年(明治40年)に完成した「毛馬閘門」という設備があります。

一度見てみたいと思っていたので、行ってきました。

 

いまは使用させていませんが、もっと大阪の観光名所になってもいいのに。

あと、黒川作品に出てくる街を登場人物と重ねて歩くのも楽しいです。