私が就職活動をしていたはるか昔、リクルートスーツは紺色だった。

紺のスーツに、履歴書(いまはエントリーシートと言う)等が入るサイズのビニールの書類入れを持って、会社訪問や面接に出掛けた。

 

我々「バブル世代」は極端な話、

どんな格好をしていても、採用側から注意をされることは無かった。

だってさ、「超売り手市場」で学生の方が圧倒的優位にあったから。

 

いまの就活学生のスーツは黒一色である。いつからこうなったのか。

記憶をたどると、リーマンショックあたりからではないかと思う。

 

バブルが崩壊し、リーマンショックで「就職氷河期」となると、

学生は目立つことを避け、没個性を志向するように変化をしていった。

その結果、喪服と見間違う黒服を選ぶようになったのではないか。

つまり黒のスーツ姿は、「本音を出さない」というサインでもある。

 

ファッションでは、確かに黒は細く見えてシャープな印象を与える。

でも実は、着こなしセンスの無い者には、難しい色だ。

シャツがはみ出していたりすると、だらしないイメージが際立ってしまう。

 

同じ黒なら、いっそ学ランで面接に来る学生はいないかと期待するが、

ここ十数年採用を担当をしていても、まだお目にかかったことが無い。

裏地に「黒企業天誅」と刺繡があれば、なお格好いい。