遠くに聞こえる喧騒をBGMに

薄暗い中で赤く灯る彼の指先を

私はぼんやりと見つめていた



最近ではもう

身近に煙草を吸う人もなく

記憶の中にあった

懐かしい香りと煙が

彼の口から揺らいでいた



私は何だか無性に

エロティックな気分になっていた



そして



ちょっとした悪戯な心が

頭をもたげてきて…



気がつくと私は

煙をくゆらす彼から

フッと目線をそらし

呟いていた



「さっき、

 『紫陽花さん

  全然 “女”  ですよ』

 って言ってくれて…

 …嬉しかったなぁ…」




続きます