琉球処分-大城立裕(旦那ken) | のん気夫婦の中国・天津・大連生活ブログ

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2013年の読書目標100冊をかかげたのですが、

 

もうすぐ12月なのですが、まだ60冊しか読んでなくて、

 

昨年の83冊の達成も、もう難しそうです。

 

最近読んだ本で、おもしろかったのが

 

琉球処分という、大城立裕という沖縄初の芥川賞作家の書いた小説です。

 

福建省厦門に来るようになって、なんとなくこの福建省や台湾の閩南(みんなん)地方

 

の雰囲気が、沖縄に似ているような気がして、また母が沖縄出身ということもあり

 

また最近の尖閣諸島問題も含めて、沖縄の歴史知りたいと思い、この小説を読んでみました。

 

琉球処分というこの言葉は、明治維新の頃の内務省官僚である、松田道之という人が当時、琉球国、琉球藩

 

沖縄県へと廃藩置県を行ったときのことを、公式、非公式に文書に保存しており、それをもとに

 

大城氏が、当時の琉球の為政者達、士族、民衆の心模様や、琉球処分官松田と言う官僚との対応やりとりを

小説にしているのである。

 

琉球は、1421~1879年の450年間、沖縄本島付近にあった尚巴志王が建てた王国であり、1609年から薩摩藩に

よる実効支配されていた。

 

それでも対外的には独立した王国として、明国や清国からの柵封を受けて、日本や中国の間に挟まれて

地の利を生かした、貿易で生計をたてている王国であった。

 

武器を持たない国といわれるほど、争いごとがなく、大国(日本と中国)に挟まれながら、戦争もおこすことなく

 

低姿勢な外交力で、その王国を維持してきた。それらの歴史から、琉球藩の外交というものは

 

相手国からしては、粘り強く、いかんともしがたいという苦悩を、つづったのが琉球処分官松田の残した文書なのである。

 

琉球語という、日本語とは違う言葉をはなし、通訳を介さないと言葉が通じない。

 

明国時代からの中国人の移民が住む、村もあり、また福建省福州には琉球館という領事館のようなものもあり

 

使節を派遣しては、明国、清国とも册封うけていたという。

 

著者があとがきで、この作品には沖縄の運命が二重写しに見えるという。

 

この琉球処分と、戦後の沖縄返還。

 

また昨今の、米軍基地問題や、尖閣問題なども、時を経ても

変わらず沖縄がかかえる、ねじれた運命や苦悩というものを感じる。

 

沖縄の琉球のアイデンティティというものを、深く考えさせられた小説です。

 

また沖縄を通して、うつしだされる日中の関係が、ずーっとあの頃から

ひきずっているという気がします。

 

この小説を読んで、また沖縄に行ってみたいと思いました。

 

綺麗な海や、山だけでなく、その歴史と運命を、親戚のおじさんおばさんに

聞いてみたくなりました。

 

来年くらいには、また行こうかな。家族で。