おはようございます。
さて、手術まで辿り着かないまま、2回もこのタイトルで書いてしまった。
もういっそ、「手術してなかった(クオーテーションマーク)」とかに代えてしまった方がいいのではないだろうか。
しかしながら、事実、手術して2週間ほど経っているし、腹に残された中央線のような傷跡は私の幻覚ではないと思う。
そう、手術は私のフカシではなく実際にあったことである。
事件は会議室ではなく現場で起こったように、手術はブログではなくオペ室で起こったのだ!
そして腹は今でもぶっちゃけ痛い。
帝王切開の術後にも似た痛さと言われたが、帝王切開ならこの痛さの先に可愛い我が子を抱けるという光があるが、私の場合、この手に抱けるのはせいぜい肥大した肉の塊という、地獄絵図な暗黒のみである。
痛みを我慢する甲斐が無さすぎる。
黒山羊のアタマも持ってこーい!
(寝たまま描いたため、またもやひどい出来)
その上、この不自由な身体ゆえAJANTing※にも多いに支障を来たしている。
※AJANT(北部準州豪日協会)に関する活動をすること。ちなみにこのブログを書くことはblojanting(ブロジャンティング)、AJANT で活動する人はAjantor(アジャンター)、AJANTを極めている人はAJANTist(アジャンティスト)と区別される。
このブログでも繰り返し言及しているように、AJANT役員はとにかく忙しい。
私がほのぼの子育てブログ(←子供もいないのに)などをアメーバでチェックしてる今この瞬間にも、他のメンバーは次のイベント、来年のイベントに向けて着々と準備を進めているのだ。
私は戦力外ののび太(ブログはコチラ)として、ベンチを温めることにかけては不動のセンターのポジションを死守しているが、ここまで役に立たないと、いない方が却って助かる的なポジションまで格下げされるのではないか。
なんとかこの状況を打開できないかと考えたが、出来ることと言えば、日本文化の一つ「陰腹※」になぞって、NT首席大臣のマイケル・ガナーに私の腹の中央線をチラ見せしつつ「AJANTにオフィスをください!補助金も世露死苦」という直訴状を突きつけるしかないのかもしれない。
※陰腹を切るー武士が切腹覚悟で直訴や心中を述べる場合に、先に腹を切り傷はサラシで止血して、命を賭して殿に訴えること。
相変わらずいらん前置きが長い。
このままでは手術まで再び辿り着けそうもないので、いきなり手術当日の話に戻ろう。
前回で触れた通り、手術当日は脱水症状ギリギリ、心がポッキリ折れた状態で病院へ到着した。
このままでは負け戦になる。
そう思った私は、ナースと術前のチェックで2人きりになった瞬間、自分の状況を伝えようとした。
ところが、若いナースに「今日、実は看護婦として初日で、緊張してます!」といきなり鼻パンチを食らう。
いやいや向こうが看護婦初夜なら、こっちだって手術バージンである。
可愛いのう、よしよしワシが教えてやろうぞ的な余裕があるはずもない。
「昨夜の下痢と嘔吐で身体がカラッカラです・・手術受けていいんですか?」
と聞くと、「ち•••ちょっと待ってください!」とパーテーション代わりのカーテンをシャーッと開け、小走りにどこかへ消えた。
すぐに戻って来て、「今でも下痢は続いてますか?」と聞くので「今は何も出る物がないので止まってます」と答えると「ち•••ちょっと待ってください!」とまたまたカーテンをシャーッと開けて消えた。
伝言ゲームか。
「大丈夫です!行けます!行けるって言ってました」と彼女ではない誰かに太鼓判を押されたものの不安で仕方がない。
何の薬か分からないクスリをもらい、そのために貰った水をグビっと飲み干す。
こんな少量の水でも心底うまい。
こうなったら切ってもらうより他はない。
そこで「執刀医には手術前に会えるのでしょうか?」
と、ずっと気になっていたことを伝えた。
実は執刀医に一度も会ったことがなかったのだ。
事前にもらった病院からのパンフには、執刀医とチームはその日1日中手術をし、時には10人もの患者のオペをこなすとあった。
10人て。
築地のマグロの解体師だって1日に10体はバラさないであろう。
私だったら1.5体目ぐらいから集中が切れ、スマホ弄りだして興味もない今田耕司とか検索し出したり、興味のない今田耕司のことを考えて、違う臓器を間違って切ってしまうに違いない。
執刀医はプロであり、私の20倍は年収を貰っているはずなのでそんなことはないと思うが、10体も手術すればどうしても最後の方は流れ作業になり、人間というより単なる肉の塊をさばいているような感覚になるのではなかろうか。
私には秘策があった。
姑息だが執刀医と事前に会うことによって、私の長所を最大限アピールし、ただの肉の塊ではなく一人の人間として、あわよくば好意を持ってもらって手術に臨んで頂くつもりだった。
ペットとして飼っている豚と家畜の豚では、どちらを丁寧に屠殺するかという原理と一緒だ。
しかし、事前に会ったおかげでウザい豚奴と嫌われて、ムカつくから臓器の一つでもヌイてやれ、と思われる可能性だって十分あったはずなのに、何とも自分はおめでたい。
→病院のプロフェッショナルたちはそんなこと決してしません
「きっと会えますよ!」と笑顔で看護婦さんは答え、私に手術服と紙のパンツを渡してくれた。
ここでオペ前の待合室に通される。
リクライニングができる椅子に電源、共有だがテレビもついている。
病院のパンフによると、ここでしばらく・・・最悪午後4:00頃まで飲まず食わずで待たねばいけないらしい。
(その時点ではまだ午前9時頃)
喉の渇きと飢餓でヤラれるか、その前に腹を切られてヤラれるか。
しかしもはや紙オムツしか履いてない訳だし、ここはひとつ籠城するつもりで腹をくくって、iPadを開いた途端に「あなたの番です」といきなり呼ばれる。
ここにきて一番乗りだッ!
先ほどの新米看護婦に着いて行くと、今度はちょっと妙齢の白衣の女性が待っていた。
この人こそ執刀医に違いない!と笑顔でガッチリ握手したら「これからアナタを手術室まで連れて行くナースです」と言われる。
ってか、執刀医(ラスボス)に辿り着くまでに何人のナースを乗り越えねばならぬのか。
その妙齢の看護婦に言われたままベッドに横たわり、更に毛布を掛けられ、手術室と思われる部屋の前に待機させられる。
そこで待つこと20分程。
スマホもなきゃ本もマンガもないので天井のシミを見つめたりしていたら、いきなり入って来た方のドアが開き、「手術室、間違ってもーた!」と二人の看護婦が駆け込んできた。
コントか。
コント1号2号が口々に「みんな患者どこやって探しとったでー」「おらん訳やー」「ここかいなー」とか言いながら私のベッドをガラガラと引いて行く。
全力で頼むからしっかりしてください。
明らかに違うドアをバーンってな感じで開くと、医療ドラマでよく見る、やたら眩しい手術室ライトがいきなり目に飛び込んで来た。
辺りを見回すと10人位の人がテキパキと何か準備している。
こんな人数が私の腹を切るために・・・とちょっと胸アツになる。
もっとも私の手術が始まった瞬間に全員がスモコ(コーヒーブレイク)に入ってしまったり、スマホゲームを始めても私には知る由もないのだが。
気がつくと私の両側に人が立っていて「麻酔師のAです。こっちが学生のBです。今から注射打ちます!」と言ったか言わないか、両側に針が差し込まれた。
そしてついに念願のラスボス、執刀医(担当医)が出現して、私の手を握りながら、「私が担当医です。今日はこれを切る予定ですが、状況によっては違う箇所も切らなければいけないかもしれません。了解であればこちらの書類にサインお願いします」
この土壇場で両腕に針を刺したまま「こんなものにサインできるか!たわけが!!」ってペンを投げつけることが出来るのは、日本では海原雄山だけであろう。
それどころか、豚は私はこの担当医にデスパレードに愛されたいのだ!
ガクガクと何度も頷き、ペンをひっ掴み、ベッドに横になりながらサインをかました。
何が書いてあるかなんて、一切関係ない。
アプリをインストールする時と一緒だ。
下まで一気にスクロールして0.1秒の速さでアグリーを押すのみだ。
もしこの書類に「二つある臓器の内の一つを無料で提供します」って書いてあったらどうしよう、と後から考えたが、いやしかし、万が一臓器をこの手術で取られたとて、それに実際気付くのは、人生で詰んでしまい、いよいよ臓器を売ろうと思って腹を開いた時だろう。
それ以外では気付きようがないのだ。
ミミズがのたうち回っているようなサインが終わると、麻酔師の学生Bがすかさず私にマスクを被せた。
「深ーく息を吸って」と言われたが、緊張しているのか、学生Bがあまりにギュウギュウとマスクを押し付けるので、息をしたくとも息が出来ない・・。
麻酔師Aが「B、押し付け過ぎよ!」という声が聞こえ「そうだぜ、焦るなよ、青二才。お楽しみはこれからだぜ」とか思ったのを最後にいきなり記憶が無くなった。
気がついたら病室に寝ていたのだった。
驚きですが続きます。
未だ完治には程遠い
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