先日の決算特別委員会で質問した「学校図書館運営委託事業」について、質問と答弁をアップしておきます。

 

久しぶりに怒り心頭な案件で、問題だと思うことは色々あるのですが、大きな問題は、1)「委託事業」の積算根拠が外からほとんどチェックできない、2)労務管理が適正かどうか外部からチェックするシステムがない。

 

改善していかないといけないと思っています。

 

 

 

 

 

 

1、  学校図書館運営委託事業について


(質問 清家)


港区は令和2年度から、業務委託により区内の小中学校の学校図書館に学校司書および学校図書館支援員を配置しており、今年で3年目になります。
 

この間に、学校図書館での貸出冊数や授業利用回数も増えていると伺いました。学校図書館に専門的な知識をもったスタッフがいて、子どもたちが本に親しみ、授業や読書に学校図書館が活用されることは、今後も進めていくべきと考えます。

しかし、業務委託をした1年目に比べて年々、司書・支援員の配置時間が減っており、これはすなわち図書館の開館時間が減ることにつながり、重大な懸念となっています。

令和2年度の業務委託仕様書によると、ひとつの学校で、学校司書は1日7時間、年間41日の業務で、時間にして年間287時間。学校図書館支援員は年間700時間の配置なので、1校当たり司書と支援員を合わせると987時間配置されていました。


それが今年度、令和4年度では、司書は1日6時間で年間68日、支援員は1日5時間で年間87日。これを時間にして合計すると843時間となり、2年前と比較して144時間減っています。


また、これらの総勤務日数から研修などを引いた、1校あたりの開館日数は、令和4年度は司書は63日、支援員は82日で年間145日となり、昨年度より14日減りました。

現在、学校図書館は、水曜日をのぞき、司書週2日、支援員週2日の週4日配置されていると言われていますが、年間145日の開館では、夏休み・冬休みなどの長期休暇以外にも図書館を閉館しなければならず、学校で組まれた時間割りの図書の時間に図書館が閉館している事態もあり得ます。

学校図書館の業務は、本の貸出・返却以外にも、図書館便りの発行や本の選書や除籍(じょせき)、図書館イベントの実施、図書委員会のサポートなどもあり、業務時間が減ったことは、現場のスタッフに大きな負担となっていることも考えられます。
 

港区の学校図書館のさらなる充実をはかるためには、スタッフの配置時間、開館日数の確保は重要と考えます。


令和4年度予算特別委員会で、私たちの会派の榎本委員の質問に対し、教育委員会は「貸出冊数や授業利用の回数を増やす」という目標を掲げていらっしゃいますが、実態としては図書館スタッフの配置時間が減っている理由について、見解を伺います。

 

 

 

(答弁 教育委員会 教育指導担当課長)

 

現在、教育委員会が業務委託している事業者から各小・中学校に配置されている学校司書や学校図書館支援員については、学校図書館運営委託業務を開始した令和2年度と比較すると学校司書と学校図書館支援員の合計配置時間が減少しているという状況です。

 

これは、令和2年度以降、運用していくにあたり、年度当初や年度末などは通常学校図書館が開館しておらず、学校司書や学校図書館支援員の配置の必要がないことから、その分の日数を除いて計画してきたこと、さらには、資格を持った学校司書の配置日数を増やすため、学校図書館支援員全体の配置時間を減らすことで対応してきたことが主な要因となっております。

 

配置時間数は減少しておりますが、教員の指導はもとより、学校司書、学校図書館支援員の支援により、学校年間貸出冊数や授業の利用回数は増加しております。

 

 

(質問 清家)


2)令和4年度の業務委託仕様書では、司書と支援員の一日の業務時間はそれぞれ6時間、5時間と書かれているのみで、年間の業務日数は書かれていません。

 

①なぜ、令和2年度の仕様書に書かれていた司書の年間の業務日数、支援員の年間業務時間が仕様書に書かれていないのでしょうか。

 

「委託契約」事業は、指定管理事業のように、契約内容が議会で厳しくチェックされることもなく、区民からチェックしにくい契約ですが、「学校図書館運営委託事業」は、税金を使った教育事業です。事業者に対して、スタッフの配置時間、雇用条件など、最低限守ってもらうことを仕様書にきちんと書き込んでおくべきです。

 

②仕様書を改善してください。そしてそれを、H P上で公開してください。プロポーザルが今年行われる予定と伺っていますが、いつプロポーザルがあって、どのような経緯で決定したかなど、区民がみてわかりやすいように情報公開をしてください。見解をお伺いします。

 

 

 

(答弁 教育委員会 教育指導担当課長)

 

 

(1)委託事業の仕様書について

 

プロポーザル時の仕様書案は、学校司書の配置日数について、配置の目安として記載をしておりました。令和2年度の契約時の仕様書以降は、年度によって学校図書館開館日が異なることから、学校司書や学校図書館支援員の年間の配置日数については記載を行っておりません。

 

 

(2)学校図書館運営委託の情報公開について

 

今年度、学校図書館運営委託を開始してから3年目にあたり、新たに事業の効果性を見直す必要があることから、教育委員会では、令和5年度以降の学校図書館運営を委託する事業者を選定するプロポーザルを実施する予定です。

 

また、令和5年度以降のより充実した学校図書館に向けて、現在の仕様書の見直しを進めた上で、プロポーザルを実施してまいります。

 

実施の時期や、プロポーザルによる事業者の決定に至るまでの経緯などは、区のホームページで公開いたします。

 

 

 

(質問 清家)


3)また、図書館スタッフの待遇という面では、このまま放置していいのかと感じる点がほかにもあります。今年度、図書館で働く司書・支援員は、経験年数に応じた給与体系になり、その代わりに今まで支給されていた交通費の補助がなくなりました。


学校図書館の運営は、港区のように民間企業に委託している自治体は多くありますが、交通費を支給しない求人はほとんどありません。
また、昨年度は収支の関係で、中学校司書や支援員の時給も下がったと聞きました。


このような状況で、人材を確保できるのか疑問です。
 

委託業者の労務管理について港区として関与することができないにしても、その運営や雇用条件が適正なものであるかは港区にもチェックし、指導する責任があると考えますが、見解をお伺いします。

 

 

 

(答弁 教育委員会 教育指導担当課長)

 

教育委員会では、学校図書館運営委託を業務委託している事業者が、契約の内容を履行しているか確認を行う必要があることから、事業者との月例会における定期報告や報告書において履行確認を行っております。

 

また、月例会などの場においては、各学校の図書館運営の実績報告をきめ細かに行うことや、学校司書や学校図書館支援員が業務について不安や悩みを訴えてきた場合には、速やかに教育委員会と共有することなど、契約主として、事業者に対する指導を強化してまいります。

 

 

 

(清家)

 

悪質なハラスメントを行うなどの事例があった事業者に対し、なんのペナルティもなく済ましてしまうというようなことがないように、税金を使った事業である以上、公として厳しくチェックが働くよう、適正に事業を行っていただきたいと思いますし、そういう制度に改善していただきたいと思います。

 

学校図書館の充実をはかるためにも、週5日司書・支援員を配置し、月曜から金曜日までいつでも学校図書館を利用できるような体制が実現することを期待します。