羽田空港の国際線増便のため、
国土交通省から新たな飛行経路案が示され、
それが港区上空を飛ぶというので、
いま、地元向け住民説明会が開かれています。

これまで騒音に配慮して、東京湾上空を旋回していた飛行経路を、
思いっきり、都心上空を突っ切るようにすることで、
国際線を増便させる、という案です。

これにより、現在、羽田空港の国際線の発着回数は年間約6万回
のところを、2020年には年間約9・9万回、
現行の約1・7倍にまで増やせます
、というものです。
(上の図がこれまでのルートで、下の図が新ルート案)




和光市付近で旋回して、新宿付近を通って、
表参道交差点あたりから港区に入って、
広尾駅付近で、高度約600メートル。
品川駅北側で高度約450メートルだそうです。

港区上空を飛ぶのは、
南風が吹いたときのC滑走路の到着経路(降りてくる方)に
なるので、運用時間は午後3時~7時で、
1時間31回飛ぶ予定。
南風になるのは、年間の約4割なので、
(北風だと違うルートになります)
平均すると、5分に1回くらい飛ぶ計算です。
(実際には、そんな正確な間隔では飛びませんが)

高度610メートル(広尾駅付近)の騒音レベル(降りるとき)は、
瞬間最大74デシベル、
高度455メートル(品川駅北側)だと、最大76デシベル。
自動車で70~85デシベル。
セミの鳴き声で80デシベルと言われています。

しかし、それがどれくらい気になるレベルなのか、
いまいち、よくわからない。



で、先日、麻布十番祭りの前に、
高輪区民センターで地元説明会があったので行ってきました!



「オープンハウス型」という形態の説明会で、
説明パネルが展示された会場で、
担当者が何人かいて、参加者の質問にマンツーマンで
応えてくれて、意見の聞き取りをしてくれます。

記者根性で、担当者に2時間くらいしつこく聞いてしまった
担当の方はすごく親切でした。
しかし、パネル展示の説明がざっくりとしすぎではないか。。。
「必要性」の部分の具体的説得力に欠ける気がしました。
もう少し、知りたい人には、詳しい資料を用意しておいてほしいです。




実際に、たとえば、有栖川公園上空あたりを飛行機が
通過した場合、飛行機がどういう風に見えて、
どれくらいの騒音があるか、などを映像で体験できます。

(バーチャル体験なので、実際にどうなのかはっきりは
わからないのですが、個人的には、ちょっと気にすると、
気になるレベルではあるような。
もっと全然、気にならない感じなのかと思っていたので。
この感じ方は、すごく個人差があるような気がします。
西麻布繁華街にある我が家ではまったく気にならないと思うけど)




↑これが、新経路案の地図です。

説明会は、8月27-29日に、品川フロントビルキッズ館(港南)で
開催されますので、気になる方はぜひ!
(27、28日は12時~20時、29日は10時~18時)

その後は近隣だと、渋谷ヒカリエ8階でも、9月4~6日で
開催されます。
(4日は12時~20時、5,6日は11時~19時)





それで、一昨日は、港区議会で羽田空港を視察してきました。

最初は、千葉県の浦安クリーンセンター
実際に、港区上空を飛ぶときの感じを体験するはずだったのですが、
残念ながら、北風になって、経路が変わってしまい、
いまいち、わからずじまい。。。

離陸する飛行機が真上を通って、67デシベルだったのですが、
「結構、音するんだね」という感じでした。
でも、港区上空では最大70デシベル以上になるのだから、
もっとうるさいのか!と思ったけれど、
着陸の飛行機だと聴こえ方が違うとのことで、
あと、やっぱり生活音の多い都心でどう感じるかは、よくわからない。





その後、いまは使われていない旧管制塔の中を視察させてもらいました。
こちらは、写真撮影禁止。

1時間に80回の離発着なので、
ひっきりなしに、飛行機が飛んだり下りたりしてるのが見えました。



羽田空港は、4つの滑走路が交錯するみたいな形になってて、
これで、一日のうちに、北風と南風が変わったりして、
そのたびに、飛行機に経路を変える指示を出したり、
空港自体を沖合に作っているので、
東京港の大型コンテナ船などの航路との兼ね合いも
あるそうで、
最終判断と指示だしは、「管制官(人)」がやっているそうで、
わたしには、ほとんど「曲芸」みたいな世界に見えました。。

国内で人命にかかわるような事故は、ほとんど起きていないそうです。
(昭和60年の日本航空123便墜落事故や、
平成6年の中華航空140便墜落事故などがありますが)
インシデント(そこに至らないまでの事故)はもちろんあるそうですが。

羽田空港が特別に複雑な構造なのかと思ったら、
こうしたことは、世界のほかの空港でもやっている
ことだそうで。

そのあと、会議室で説明を聞いて、質疑応答。
知りたいことがほとんどわからなかったので、
後日取材してみました。






これまで、「羽田空港の国際化」については、
東京住民としては、便利になるし、
アジアのハブ空港として国際競争力高めてほしいし、
大歓迎だわ~、くらいにしか、実は思っていなかったのですが、
港区上空を飛ぶなら、区民の代表として、
きちんと調べないと、なにか問題があったら大変だなあと、
説明会に出たりしてみたのですが。

騒音がどれくらい気になるレベルになるのか、
結局、わからずじまいだったのですが、
全然気にならない、というほどでもないような気がする。

ただ、地元住民としては、
「この新経路が、どうしても必要」という理屈と、
「自分の家の上空を通る影響」というものを、
天秤にかけた上で、納得できるかどうか、だと思うのですが、
その「必要性」の理屈の方の説明が、よくわからなくて、
納得しにいったのに、疑問ばかり膨らんでしまった。。

国がどういうグランドデザインを描いていて、
この新経路案が、目標にどれくらい寄与するのかとか、
経済効果がどれくらいあるものなのかとか、
どれくらいの需要予測があって、現状応えきれていない分を
これによって解決できるのかとか、
深夜早朝枠をもっと増便して、地上交通アクセスをもっと
改善させたらいいのではないかとか、
そもそも過密な羽田空港をさらに過密にさせて、
抜本的な解決になるのかとか、
安全管理の現場負担は重くならないのかとか
(交差点が減るので、安全管理負担は軽減されるそうです)
羽田空港は国内線の占める割合が世界の空港の中でも
際立っているのだから、そちらの整理がまず必要なのでは?
とか(国内線は少子高齢化で将来的に需要減らないのかなとか
思ったのですが、あまり減らない見込みだそうです)、
タイムスケジュールが、「2020年東京オリンピックに向けて」
になっているけど、そのあとどうなるのか?などなど。

そうしたことに対する検討プロセスなどは、
こちらに詳しく出ていました。
すごくわかりやすくてよくまとまった資料なのだけど、
この資料をHPの中から探すのは至難の業だった。。

→ 「国土交通省航空局 首都圏空港機能強化技術検討小委員会」
のHPの左側にある「報告・答申」のところの、
「首都圏空港機能強化技術検討小委員会の中間とりまとめ(参考資料)」


(PDFはこちら。→ http://www.mlit.go.jp/common/001047127.pdf )

この人口過密の都心区の真上を飛ばすのは、
それなりに結構、ハードルが高いことのような気がするのだけど、
(成田空港付近で、過去10年で18件ある氷などの落下物
だって、確率は低いといっても、都心区ではリスクだと思うし。
最近は国際的な安全基準も格段にあがっているそうですが)、
そこまでやる価値のある事業なら、
最初から、もう少し詳しい説明を、わかりやすく示してほしいなあ、
と思いまして、そうお伝えしました。

深夜・早朝枠の活用や、地上交通ネットワークの整備や
国内線の整理や、滑走路の増築などは、
やっぱり課題にあがっているんだなあ、と資料を読みながら、
ふむふむ、という感じ。








羽田空港の旅客ターミナルも視察。

羽田空港は、2010年10月に首都圏の本格的な24時間運用の
ターミナルとしてオープンし、2014年に拡張増築。

2014年の世界主要空港の旅客数ランキングでは、
アトランタ、北京、ロンドン・ヒースローに続き、第4位。

4階の「江戸小路」ってこんな風になってたんだ~!と、
ちょっと驚いてしまいました。
初めてここ行ったのですが、すごく素敵でした!