前世での最後の記憶と生まれ変わるまでの事は前回のブログで書きましたが、自分ではいつ死んだのかはっきり分からずにいました。
ミッドウェイで戦死した彼からも
「君は俺が死んだ後、前世で最後どうだったんだ?
いつ死んだんだ?」
と何度も尋ねられました。
「分からないんです。
泣いて嘔吐して意識を失って、それを繰り返しているうちに衰弱死したのかなぁ、とも思うのですが…
ただ、今生強く思っていたのは
『日本は資源の無い国だから、物を大事にしないと。』
という事だったので、戦争末期まで生きていたのかも知れないし…
本当に分からないんです。」
何年もの間、何度聞かれてもそう答える事しか出来ませんでした。
その間、細川忠興・ガラシャ夫妻について見る事が多かったり大河ドラマで明智光秀をしていたりで昭和の自分の死に方どころではありませんでした。
私も彼もすっかり気にも留めなくなった去年の年末、唐突に3mくらい上から棺桶に納められた自分の遺体を見下ろしているのが見えました。
生前彼が大好きだった長い髪はざっくりと短く切られ、最後の記憶にある紺色のもんぺを着て、右側を下にして足を軽く折り曲げた姿勢で長方形の棺桶に横たわっていました。
髪を切られていたのは、おそらく嘔吐で髪が汚れて固まっていたからかと思います。
棺桶と言っても1〜2㎝のカンナもかけていない杉の木の板を打ち合わせたもので、布団の布を切り裂いたのか端から糸がほつれているハギレのような布の上に寝かせられていました。
ただ、嬉しい事に下にした右腕と顔の間に小さな花束が添えられていました。
その人生で身寄りは無かったと思うので死んだ後も人の手を煩わせたはずですが、棺桶を用意して弔いに花を添えてくれた人がいた。
その優しさが有り難かったです。