東京へ戻ってきて昨日はブロードウェイミュージカル「PIPPIN」を観劇しました。
若き王・ピピンが類稀な人になるべく自分探しの旅に出て行くお話です。
まず驚いたのは始まってからずっと2幕の最後のシーン以外、劇中劇だということ。
役者たちは物語の中の人物を演じているんだけど、実は物語を紡いでいく一座の一員を通して芝居をしている、というメタ構造。
だから観に来ているこちら側も"PIPPINの観客''ではなくて、その''旅芸人一座の芝居小屋にきた観客''という感覚に陥ってしまうのです。劇場全体の空気も巻き込んでしまうのってなかなか出来ることではないと思うし、そう思い込ませてしまうだけのひとりひとりの緻密な作りがとても圧巻でした。
そこからあちらこちらでエアリアルなどのアクロバティックなパフォーマンスとマジックが繰り広げられて目が本当に楽しい。
1幕はずっとショーを見ているみたいでワクワクしていたのですが、
2幕からぐっとメッセージ性が加わり観劇したあとからじわじわと考えさせられるようなお話で。
何をしている時・何を目指していたら人生が充実していると言えるのかなんて人それぞれなわけで。
平穏な日々を求める人もいるだろうし、ある分野においてオンリーワンになりたいって名声を残そうとする人だっている。
でも私がこの作品を通して思ったのは、その先に一人だけの未来があるのではなくて誰かがそばいたらいいなということ。家族、友人、恋人、私だったら応援してくれている人たち。一人で突っ走りたくなるときもあるだろうけど必ず一人ではないんだとどこかのタイミングで気付けたら幸せなんだろうと強く感じました。
おもちゃのびっくり箱のようなエンターテインメントでありつつもメッセージを観客の心に刻み込む…
ブロードウェイってすごい。さすがです。
あとね、当たり前だけど出演しているみなさんの多才さに驚きました。目からウロコ。ぽろぽろ。
日本だと歌手は歌、ダンサーはダンス、役者は芝居って極める分野が決められているような気がするのですが、ブロードウェイではそんなルールなくて。
役者だったらちょっと踊れるよね、のレベルではなくてみんながみんなダンサーを負かしてしまうほどのパワフルさと技術があってとても素敵でした。これを見ちゃったらねぇ…この先こういうものを求められるんだろうなぁ、レッスンもっと頑張らなきゃなぁ、なんて思いもしましたよ。
あとね、主人公ピピンのおばあちゃんがパワフルで素晴らしかったの。ワンピースを脱いでコルセットのようなセクシーな衣装でもとても可愛らしい。チャーミングで生き生きとしていて、人生を目一杯楽しんでる、そんな風に見えました。
私もこんなおばあちゃんになりたいな。
何はともあれ、たくさん刺激を受けた作品でした。海外のミュージカルを見るのはとても久しぶりだけど良かったです。
次は絶対トップハット見るんだ~!
久しぶりの逢沢の観劇記録でした。