罪悪感と後悔と | Aizの合図

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今夏の反省文。


今日の夕方、市のスポーツクラブで泳いだ帰り道の交差点で。


信号待ちをしている僕の後ろ、左から右へ黒い影が駆け抜け
青信号側を少し過ぎたところで止まった。

その小ささに一瞬目を疑ったが、すぐに黒い子猫だと分かった。

その子は身体を丸めた。
まっくろくろすけのように小さくなった。


信号は変わろうとしている。
子猫がいる側が赤になろうとしているのだけれど
いっこうに動く気配がない…

僕もその子が気になり、動けなかった。


信号が変わった。

1台目、子猫を避けるように弧を描き進んでいった。

2台目、同様に弧を描くが、子猫が動き出した。
後輪をすれすれで抜けたところまでは良かったが
また丸まってしまう。

3台目、たぶん、ドライバーは僕と同様に最悪の事態を想像したのだろう。
後続がいないこともあり、アクセルを踏む様子がなかった。

さすがに見ていられなくなり、子猫に近づいた。
動かないことを祈りながら。

幸い、大人しくいてくれたので、両手で掴んだのだが
その子はとても軽かった。
僕の片手の掌から少しだけはみ出るくらいの大きさで
今まで、こんなに小さな猫を見たことあったっけって思ったくらい
小さくて軽かった。

とりあえず、一件落着。
歩道の隅に置いて別れを告げた。



けれど、駅へ向かえば向かうほど気になる。
振り返ると、誰も気に留めていなかったようだし
さっき目が合った瞬間に視線を外されてしまったが
あの涙目が脳裏に焼き付いてしまっている。

それに、あの子から数メートル先は車道だし
また歩道を越えてしまうのではないかという不安もあった。

迷いはあったけど、結局、引き返した。



さっき置いた場所から動いた気配がない。
もう少し安全な草の生い茂ったところに移動させてやった。

これで安心かと思い背を向けると、2度「にゃー」と泣いた。
完全に人間の心の弱い部分を突かれてしまった。


こんな経験したことなんですけど…


こういうとき、困ったときにはiPhone。

子猫が奥の草むらにのろのろと入っていったが
目に留まるところで蹲っていたので、手だてを調べる。

どうやら、保護すると基本的には保護した人間が
飼い主が見つかるまで面倒を見ることになるらしい。


それは無理だよ…


ただ、例外的に動物病院が引き取ってくれる事例もあった。
市に言っても結果は予想できるし、その例外に賭けてみることにした。

運良く、動物病院は近い距離にあった。
今日の診察費くらいは負担するつもりで、電話をかける決心がついた。





が…





いない。





その場に立ち尽くした。

久々に、立ち尽くした。


その周囲も少し見たけど、いない。


猫は死ぬとき人目につかないところに行くと聞いたことがある。
そんなネガティヴなことが頭に浮かんだ。

1度は命を救えたけど、2度目は僕の掌からするりと落ちていった…

一歩遅かった。

結局、救えなかったんじゃ、意味がない。



ごめんよ…と心の中で呟く。



あとで知ったのだが
猫の涙目は健康状態に問題があるかもしれないとのこと。

そりゃ、あれだけ小さい子猫が1匹じゃ…



2度目の、ごめんよ…



ただ、あの子はまだ走れたし、鳴く力もあった。
それにスポーツセンターの傍だから
きっと、小学生や家族連れが見つけてくれるはず。



そう信じるしかなかった。



そう祈るしかないんだ…