とうとう | 法友(とも)へ

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豊島が無冠になってしまった。

 

この二人の対局はいつも見ごたえがあるが、今回もまた見事な対局だった。

 

それにしても、豊島は苦しかったし悔しかったのではないだろうか。

 

2度までもリードを奪いながら、その後一手間違えただけで急転直下の大逆転負け。

 

時間を使い切ることなく投了を迎え、盤上を見つめていた豊島は何を思ったのだろう?

 

 

AIの評価が藤井99%になってからしばらくして、豊島の3六玉に表示された詰み十三手。

 

三桂あって詰まぬ事なしの格言通り、素人目にも明らかな詰みが見えた。

 

その時、藤井聡太はまるで敗者のようにがっくりと首をうなだれた。

 

首の骨が折れたんじゃないかと思うほど垂れ下がっていた。

 

一分ぐらいそうしていただろうか。

 

それからおもむろに頭を持ち上げ、今度は天を仰いだ。

 

 

そして、指された2五金。

 

その指先はかすかにしなり、そして、かすかに震えていた。

 

それを見て、席を立つ豊島。

 

最後の時が近づいていた。

 

 

戻ってきた豊島は、むしろ晴れやかな顔で盤上を見つめていた。

 

まったく、将棋指しって奴は、見ているこっちのほうが万感の思いが込み上げて来るじゃあないか。

 

いやあ、いいものを見せてもらった。