終末と救済の幻想12 | 法友(とも)へ

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p357

あとがき

 

「本書は、私が経験した中でもっとも奇妙な試みだった。」

「私はインタヴューの中で、オウム真理教の不気味なほど平凡な側面にも遭遇してきた。」

「多くの場合、間の抜けた行動は言うに及ばず、大半の信者やその集団の日常生活の大部分には、ありふれた日常性があったことにも慨嘆せざるをえなかった。」

「私のような研究者が感心させられたのは、麻原彰晃というグルが、ほとんど十年間の長きにわたって機能し続けるという、離れ業を演じたことである。」

「私の心にもっとも残っていることは、麻原とオウムが世界を―より良い方向にではなく―変えたという感覚である。」

「限界が超えられたのだ。このグルのおかげで、オウムは、そこに存在するとほとんどだれも知らなかった境界線を踏み越えたのである。」

「世界は、もはや同じではないだろう。なぜなら、好むと好まざるとにかかわらず、彼らは、われわれを一線の向こう側へと導いていったからである。」

「この陰鬱な覚え書きを終えることは、決して絶望の表現ではない。」

「人は、彼方を見るために深淵をのぞくのだ。オウムを思慮深く観察している人々は、望むらくは本書の読者のように、その先を見はじめている。」

 

素晴らしい締め括りだ。

 

p360

日本語版のための追記

 

英語版が1998年、日本語版が2000年なので、その間に起こったすったもんだ。