最高裁の決定を聞いて驚いた。
これはまずい事になるのではないかと思ったからだ。
死刑執行後の遺骨の引き取りは本人の意思が尊重される。
アングリマーラを始め、その他の死刑囚たちも全て本人の意思通りの結果となった。
アレフが引き取った遠藤でさえも、つまり麻原がアレフの誰かを名指しすればそうなるという事なのだが、たとえそれが親族でなくとも故人の意思が尊重される。
しかし、である。
遺骨が麻原の意思に反してカーリーの手に渡るのであれば、それは東京拘置所が組織ぐるみで嘘をついたのだと、最高裁が認定する事になってしまう。
それだけではない。
東京拘置所が嘘をついたのであれば麻原に責任能力はなく、死刑執行は違法であると最高裁が認めた事になってしまう。
その責任は東京拘置所だけでなく、執行を指示した法務大臣・官僚にまで及ぶ。
当然にカーリーは麻原の死刑執行が違法であったと主張してくる。
つまり、遺骨がカーリーの手に渡るという事は、こういった事に最高裁がお墨付きを与える事になってしまうのだ。
ニュースだけを見ていても詳細が不明なため、いったいどうなっているのやらと思っていたら、滝本弁護士のブログを見てその謎が解けた。
家裁・高裁の決定では、麻原に責任能力はなく遺骨の引き取りを四女になどと言っていないというものであったのだが、最高裁はその真逆で麻原が四女にと言った事を認めた。
しかし、それだけでは四女に指定されたとは認められないというものである。
なんとまあ、である。
頭のいい連中の言い訳の上手さには驚かされる。
起死回生の絶妙手とはこういうものを言うのだろう。
家裁・高裁の決定とは真逆の判断でありながら結論は同じ。
そして、東京拘置所と法務大臣の責任の回避と同時にカーリーによる訴訟を予め退けた。
見事という他はない。
この件に関してはこれで終わり。
麻原が遺骨は四女にと言ったという事が、最高裁によって事実として確定してしまった。
まあ、そうなると困った事になりそうだ。
なぜなら、カーリーは父親の意思に反して遺骨を奪ったという事であり、アレフから見ればグルの意志に背いて仏舎利を略奪した悪魔という事になってしまう。
カーリーがアレフと通じているのなら何も問題はない。
しかし、もし通じていないのなら、ま、覚悟はしているんだろうけどね。
結局のところ、カーリーが引き取る事になった理由は、四女が国に処分を求め自分達で引き取らない事にあったのだと思う。
元々、さっさと引き取って処分していれば、こんな事にはならなかったのだ。
最高裁が麻原が四女を指定した事を認めた通りに四女が引き取り人になった場合、いつまでも遺骨は東京拘置所に置かれたままになってしまう。
国としてはいつまでもそんな面倒な事に構っているつもりはない。
国にとっては、オウムも麻原の家族も、どうでもいい事なのだ。