バルドーで色々あった後は誕生である。
これにはいくつかのパターンが存在する。
日本で大勢の人達が支持しているのが、まあ、これを僕は全く信じていないのだが、ご先祖様は何処か別の場所で暮らしており、お盆になると帰ってくるという考え方である。
その場所はどんどん死んだ人が増えていって、人間界どころではない人口増に悩んでいるはずである。
親、そしてその親、さらにまたその親と辿っていくと倍々と増えていく。
10代遡るとその数は2,000人ほどになる。
一世代30年として300年で2,000人である。
20代遡ると200万人、30代つまり900年で20億人である。
人類誕生まで遡るともはや何十兆でも全然足りない。
それがお盆になると一斉に帰ってくるのだ。
死んだ人は歳を取らないのだから人口増加は止められない。
もう、押すな押すなの大騒ぎである。
死んだ後の世界にはものすっごい超技術か何かがあって、一度に大量輸送出来る乗り物でもあるのだろうか。
そんなに大勢のご先祖様がやって来たらとてもじゃないが家の中に入り切らない。
それは隣近所全部がそうである。
おまけに遡れば遡るほど子孫の数も増えていくから、30代前のご先祖様は子供が平均で二人だとしても20億箇所の家を回らなければならなくなる。
ま、こんなバカげた事を信じているというより、誰も死後の世界について真剣に考えた事がないのだろう。
で、輪廻転生の考え方はよほど納得できる。
元々、魂の総量は一定であると考えているからだ。
その一定量の魂が六つの世界をあちこち行ったり来たりする。
一時的にそのバランスが偏ったりする事は当然ある。
これなら死後の世界が人口増加に悩む心配はない。
うん、分かりやすい。
まあ、これだと、死んだ人はもう何処にもいないという事になるのではあるが。