レオナルド・ダ・ヴィンチの遺した素描を見ていると、なんだか不思議な気がしてくる。
ただの素描とは言え、それはひとつの見事な作品なのだが、500年前に描かれたものなんだよなあ。
う~ん、なんだろうなあ。
現代の画家とは、何か本質的に違う上手さを感じる。
それは一体何なのだろう?
と考えていて、ふと思った。
これは、どうやって以前に、何で描かれているものなのだろうか?
いい味わいの茶色い色合い。
現代であればサンギュインということになると思うが、当時はそんなものはない。
というか、当時はそもそも鉛筆もなければ消しゴムもないではないか。
紙も現代のものとは違う。
で、どうやって描いたのかと思って調べてみたら、どうやら銀筆というもので描かれているらしい。
その特徴は、先が細いので面では描けない。
全ては細い線の集積である。
一度描いたら消せない。
ということである。
なるほどと思った。
現代におけるデッサンは、鉛筆であたりを取って、消しゴムで消して、指でぼかして、という描き方をする。
まあ、要するにごまかしのテクニックだ。
現代では当たり前のように使われているその技の全てが、500年前には何一つ使えない。
描き直しは出来ない、一発描きで線だけで描きあげなければならない。
それだからこそ圧倒的な存在感で迫ってくるののだろう。
現代の画家では到底真似が出来そうにない。
知りたいんだよなあ。
どうやったらこんな絵が描けるのか。
その努力の方法を。