年代別の傾向を見てみると、とはいってもデータが少ないので大雑把にしかつかめないが、50代で許可される可能性は低い。
60代が最も可能性が高く、おおよそ半数を占める。
制度がある以上、丁度いい頃合いという判断なのかもしれない。
70代で減り、80代で増える。
70代では、罪の重さを考えると出すわけにはいかない、80代では、もはや死期が近いので、のような判断に思える。
事件から30年後に中村はまだ50代、少し厳しいかなとという印象を受ける。
在所期間と許可されるかされないかの違いについては、これといって傾向は見られない。
しかし、許可された時期、これはつまりその前に審理が開始されたという事を意味するが、それが30年から32年に集中している。
それ以外ではだいたい35年以上となっており、その数は極端に少ない。
これは、審理に時間がかかる場合があり、その場合1、2年後に許可されるという事なのかもしれない。
これは許可されない場合も同様であり、1、2年後に許可しないという決定がなされる。
ということは、中村の場合、58歳から審理を開始、2年後の還暦をもって仮釈放が許可されるという可能性がないとは言えない。
しかし、ここで疑問なのは在所期間35年から38年の間に審理が行われ、さらに仮釈放が許可されるケースが存在することである。
35年から38年とバラけているのは、仮釈放が認められなかった時から起算して5年後のように思える。
法令上は10年後ということになっているから、受刑者が望む場合に限り5年後にもう一度審理が行われるということなのだろうか?
仮釈放が許可された場合の審理が何回目なのかというデータが見つからないので、この部分ははっきりしない。
それよりも、何よりも、一番の疑問が残っている。
仮釈放のスタート地点はどこなのか?
これはどうやら受刑者が望んだところで、それは叶わないようだ。
在所期間が30年を過ぎれば自動的に審理の準備に入る。
そのため、その数年前から受刑者に聞き取りを行う。
その時中村は仮釈放を望み、身元引受人の指定を行った。
おそらく、そういう事なんじゃなかろうか。
本の副題にあった「なぜ私は身元引受人になったのか」の答えは、中村が指定したから。
そういうことになる。
最後に無期懲役となった場合の、実質的な仮釈放の可能性を見ておこう。
過去10年間で仮釈放は84名、獄死者は193名。
さて、中村はどちらになるのだろうか。