高村薫が前書きに興味深い事を書いている。
オウム事件について、信教の自由が保障された近代国家は、そうした事態を裁くための法体系を基本的に持ち合わせていない。
私たち一般社会の側は事件の本質が宗教行為であった事実に蓋をするほかはなく、一般の犯罪者として処断された。
面白い考え方ではあるけれど、答えは見えない。
広瀬の本を読んだだけでクンダリニーが覚醒したとする神秘体験について。
まあ、ヨーガにおいては特に珍しい事ではないように思う。
単にエネルギーの問題であり、麻原への信心がどうのこうのという話ではない。
それに、ヨーガは修行・実践であり信仰ではない。
このあたりに広瀬が自分とは全くタイプの違う人間なのだなと強く感じる。
事件に関与した理由はオウム信者全てが同じだったという訳ではなく、人それぞれに違っている。
そのそれぞれに違う理由を利用して、結果的に同じ様に犯罪に手を染めさせてしまう麻原の悪魔的な魅力・能力が恐ろしいという結論になる。
したがって、麻原のような怪物がいない限り、二度とオウム事件のような事は起こらない、そう言っていいと思う。
とまあ、もうこの本の結論が出ちゃったけど、もう少し読み進めてみるか。