やはり不思議な棋譜 | 法友(とも)へ

法友(とも)へ

ブログの説明を入力します。

アルファゼロはやたらと先手ばかりなのは気のせいだろうか?(笑)

 

 

エルモが勝っている棋譜が見たいなと思っていたが、ようやくひとつ見つけた。

 

先手:elmo
後手:AlphaZero

▲7六歩 △3二金 ▲2六歩 △8四歩 ▲7七角 △8五歩
▲2五歩 △3四歩 ▲6八銀 △7七角不成▲同 銀 △2二銀
▲6八玉 △3三銀 ▲3八銀 △6二銀 ▲7八金 △7四歩
▲4六歩 △4二玉 ▲4七銀 △9四歩 ▲3六歩 △9五歩
▲3七桂 △6四歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲4五桂 △2二銀
▲2四歩 △3七角 ▲2三歩成 △2八角成 ▲1五角 △3一玉
▲3二と △同 玉 ▲3四歩 △5一金 ▲3三金 △4一玉
▲2二金 △1四歩 ▲3二金 △5二玉 ▲5一角成 △同 玉
▲3三歩成 △同 桂 ▲同 金 △2五角 ▲5八銀 △2九飛
▲7九金 △2七馬 ▲7八玉 △6一玉 ▲5六桂 △4九馬
▲6四桂 △6三銀 ▲4九銀 △6四銀 ▲6三金 △7三金
▲同 金 △同 銀 ▲5三桂不成△6二玉 ▲6三銀 △同 玉
▲1八角 △3六角 ▲2九角 △8六桂 ▲同 歩 △6九銀
▲同 金 △8七金 ▲6八玉 △6九角成 ▲同 玉 △2二飛
▲5四銀 △同 玉 ▲4五角
まで87手で先手の勝ち

 

非常に面白く、非常に興味深い棋譜だ。

 

 

最初に感じること、これはもう言い切ってしまってもいいのではないかと思うのだが、当時のアルファゼロでは現在の日本のAIには勝てないということがある。

 

上の棋譜では、どうやら2八角成と飛車をただで取った手が敗着のようだが、その後はアルファゼロは全く形勢を盛り返すことができずに、おそらくは数億円もかけられたスーパーコンピュータが3万円のノートパソコン相手に為す術もなく、わずか87手で敗北を喫している。

 

この結果は、世界最強のスーパーコンピュータと言えども、序盤の劣勢を跳ね返すことは、AI同士の戦いにおいては有り得ないということを教えてくれている。

 

人間ならばミスをするので逆転が有り得るのだが、AIにはミスがないからだ。

 

 

ではなぜ、こんな負け方をしたのかを考えてみると、アルファゼロの全局面を通しての将棋に対する考え方というものが見えてくる。

 

それはおそらく、駒得を最優先するというものなのだろうと思う。

 

駒得を優先するがために、終盤の詰めが甘く、日本のAIなら一瞬で答えを出してしまうはずの詰みを見つけることができない。

 

そのため、勝つには勝つがやたらと手数が長くなる。

 

 

この2八角成りも、一番の駒得である飛車を取るということを優先したために、あっさりと負けてしまっている。

 

人間の感覚では、終盤は駒の損得よりも寄せの速さが重要と見るのだが、エルモの飛車をただで捨ててでも敵玉を仕留めに行くという人間と同じ感覚が正しかったということが言える。

 

アルファゼロには終盤という概念が欠けているのだ。

 

 

それと、これは人間には到底真似ができないかもしれないが、将棋に勝つためには序盤においては何よりも駒得を優先すべきであるという結論で間違いがないと言えるだろう。