サティアン内部を通って正面玄関、つまり総本部道場から見たら裏口ということになるが、からドアを開けて外へ出る。
そこから歩いて真っ直ぐに10メートルほど、板囲いの中には予想を超えるものが置いてあった。
最初はそれが何なのかが分からなかった。
2メートルを超える高さがある球状の面を持った巨大な物体。
上部に凹凸はなく、端から端まで水平のままだ。
長さは20メートルほどあるだろうか。
奥行きは5メートルほど。
表面の材質はゴムかビニールのように見える。
明るい色を使ったカラフルなデザイン。
端っこに簡易式の階段があったので登って見渡してみると、ようやくそれが何なのかが分かった。
それはプールだった。
空気を入れて膨らませるタイプのものだが、家庭用のものとはまるっきりサイズが違う。
水の深さは大人の首ぐらいまで、センターラインで二つのレーンに分けられている。
いったいこんな物どうしたんだろうと思っていたら、遠藤が「明日取りに来るから折りたたんで置いておいて。」と言った。
そして、「ちゃんと折り畳まないと違約金が23万だから。」と付け加えた。
それだけ言って帰りかけたが、ついでのように「プールの中の髪の毛は好きにしていいけど、ドゥルガーも泳いでいたから誰のか分かんないよ。」と言って去っていった。
いらんわー!
ドゥルガーの御宝髪なんかいらんわー!
この大きさの物体をひとりで折り畳むのか。
さ~て、どうする。