呼吸をするという情報がやって来て、その情報に心が反応し、呼吸をするという意思が生まれる。
自分自身はただそれを見ているだけだ。
自分自身とは関係なく、それは進んでいく。
呼吸をするという意思に従って、呼吸をするという肉体的な行動を取る。
次の瞬間、もの凄い苦しみに襲われる。
長い間呼吸停止していたために肉体全体が酸素不足の状態になっており、肉体自体は苦しみを感じないが肉体から情報を受け取った心が大いに苦しむ。
自分自身はもはや心と完全に一体化してしまっている。
まあ、それが人間というものの普段の状態なのであるが。(笑)
心の作用を止滅したからといって、自分自身がなくなるわけではない。
ただ、その事実、本当に単なる事実なのだが、それは激しい修行によって自分で経験するしか確かめる方法がない。
心の作用の止滅については分からなくても、この肉体的な行為が先で心の働き、つまり感情が後というのは子供の頃のことを思い出せばよく分かるだろう。
幼稚園に入ったばかりの頃のことだったと思う。
周りの子供たちがよく泣いていたが、その理由がまったく分からなかった。
なぜだろうと思っていたが、ある時真似をして泣いてみた。
するとどうだろう、心の奥底から悲しみが込み上げてきた。
子供心に、なるほど泣くと悲しくなるのか、と納得したものだ。