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地下鉄サリン事件で使用されたサリンの原料となったジフロについて。
95年1月、読売新聞が上九一色村の施設周辺でサリンの残留物が発見されたとスクープする。
麻原は弟子たちにサリン関連の材料を全て処分しろと命じたが、なぜかジフロが廃棄されないまま残されていた。
で、ここで、「井上嘉浩がこっそりと保持していたらしい。」と書かれているが、これは誤解を招くのではないだろうか?
知っている人は知っている事であるし、別に井上を庇うつもりもないが、「こっそりと保持していた」という表現は、井上が単独行動で隠し持っていたように思えてしまう。
そもそも井上は、サリンの製造に関与していないのだから、ジフロがどこにあったのかも知らないし、それも持ちだすことも出来ない。
中川は不眠不休で毒性を持つ中間生成物の無毒化の作業を行っていたが、あまりにも大量にあったために見落としがあり、毒性を中和する物質を使いきってしまった後に、まだジフロが残っている事が分かったのである。
それで仕方なく、井上にジフロを託した、という事である。
井上が「保持していた」というのは事実である、しかし、「こっそりと」という表現は適切ではない。