強い。
勝ったんだから強いのは当たり前なのだが、どうも次元が違う感じがする。
角の使い方の上手さは、升田幸三のようだ。
広瀬との対局の6七角は勝負を決める一着。
これで、右からでも左からでも、どちらからでも攻める事が出来るようになった。
羽生との対局では、9九銀に対して9八金とかわすのは、まるで大山名人を見ているようだった。
この一手で、銀を遊び駒にすると同時に質駒にして、飛車の成り込みを防ぎ、たとえ金を取っても玉から遠ざかる、という一石三鳥の妙手。
羽生竜王渾身の勝負手を悪手に変えて、ここで勝負あり。
この場面で、羽生の指先がしなり、手が震えていたという。
この二つは、どちらも羽生の勝利のサイン。
どちらが出ても対局相手は負けを覚悟する。
にもかかわらず、藤井の読みが上回ってしまった。
升田の攻めと大山の受け、その両方を使われてはもはやどうにもならない。
羽生の雁木、広瀬の戦場から玉を遠ざけ飛車の活用を図る手順の5二玉、どちらも最新形であるにもかかわらず、あっさりと藤井に破られてしまった。
もうあと残っているのは、矢倉と振り飛車穴熊ぐらいだろうか。
見てみたい気もするが、やはり藤井には通用しない気もする。(笑)