ハングドマンというタイトルから想像されるのは、もちろん左手が右手の男のことではなくて、逆さづりにされながらも穏やかな表情を浮かべるというタロットの暗示の方。
なので、絞首刑になる事をこころ穏やかに受け入れる死刑囚、という先入観を持って読み始めることになる。
が、あれ、この本って、フィションだよね?
実名で出とるがな。(笑)
え~と、仮名になっているのは、作者の田口ランディと林泰男と森達也と元TD師だけか。
なんでなんだろうな?
本の後ろの方に、この小説は実際に起こった事件を題材にして書かれたフィションです。
と書かれている。
そうだよね、フィクションだよね!
ということで、あくまでもフィクションとして読み進めていく。
この本は元は雑誌に掲載されたものであり、今回単行本化されたという事。
だから、知ってる人はもっとかなり前から知っていたって事か。
最初の方をよんで思ったのは、これは恋愛小説なのか?という事。
そこからどんどん妄想が膨らんで、元TD師が合流したあたりから手が付けられなくなる。(笑)
そして、最後の長文は、もはや完全にラブレター。
まあ、作り物の小説なんだから、これでいいんじゃないの、という気がする。
妄想が膨らんでいく割には、心の奥底へ深く切り込んでいく部分が足りない。
死刑囚との交流で舞い上がるのではなくて、もっとしっかり地に足をつけてえぐって欲しかったと思うのだが、こんなものなのかなとも思う。
やはり、オウムについての知識が足りない、そういう事になるのだろう。