史上最年少棋士とひふみんの対決とか聞いても、ひふみん相手なら勝って当たり前、ここで負けるようなら先が思いやられるなという気がしていた。
なので、この対決自体には興味が無かったが、クローズアップ現代を見ていたら、もしかしたらとんでもない逸材かもしれないと思い始めた。
この中学生は、ひふみん相手に矢倉を選択した。
矢倉と言えば、もちろんひふみんの得意技である。
その相手の得意技に、わざわざ自分から飛び込んだ。
コンピュータ相手に事前貸し出しをして、懸命にバグ探しをしている情けない棋士連中は少しは見習うべきだろう。
そして、途中で指された8五歩の一手。
マスコミが煽ったからかどうなのか、控室では大勢の棋士たちが検討をしていた。
羽生も渡辺も注目して見ていた。
相手が攻めてくるのが確実で、普通なら受ける場面で受けずに駒がぶつからない歩を突く。
この手を見ていた棋士全員が疑問手と感じた。
しかし、中学生本人は悪くはならないという大局観を持っていた。
そして最終盤、この8五歩を生かした手筋通りの8六桂が炸裂。
ひふみん玉はそこまでとなった。
この感覚が面白い。
羽生にも渡辺にもない、新たな天才だけが持つ感覚。
これからが楽しみになってきた。