地下鉄サリン事件の被害者の尿からエタノールが検出された理由について、中川はサリン生成時に使用したDEA中にエタノールが混入していた可能性があると答えている。
DEAはアニリンとエタノールを高温加圧下で反応させて得られる。
教団に納品されたDEAは、教団が何十トンか業者に特注し、業者が特別に合成したものだった。
200Lのドラム缶に充填されており、実験室で使用するような純度ではなかった。
このドラム缶の上部から少量の内容物を抜き取り、サリンが合成された。
エタノールの方がDEAより比重が小さいため、ドラム缶の上部には不純物であるエタノールが比較的多く含まれていた可能性が高い。
やっぱり中川は凄い。
いわゆる専門家と言われる人たちの意見に対して、これ以上ないほど完璧な答えを出してきた。
しかも、十分な資料が手元にないと思われる、拘置所の中からだ。
それにしても、面白いものだ。
こういったものを実際に作るとなると、教科書通りにはいかないものだなと思う。
これが土谷が行ったような実験室レベルなら、合成されたDEAは上からではなく下から抜き取られるのではないかと思う。
合成後に一定時間放置した後で、どのくらいの残量になるまで抜き取ると、純度100%に近いDEAが全体の何%取れる。
こういった事がマニュアル化されているのだろう。