中川の手記⑨ | 法友(とも)へ

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亜リン酸トリメチルを出発物質とする4段階の製造方法では、まだ塩基を持っていないために第5段階で塩基を使わない方法を選択することになった。

 

しかし、5段階の製造方法にならざるを得なくなり、その場合は第一段階で酸を中和する為に塩基が必要となり、その塩基を第5段階でも使うことができる。

 

 

土谷は最初、第1段階の酸の中和に水酸化ナトリウムを使ったとされる。

 

水酸化ナトリウムと言えば、小学校の理科の実験にも使われる、塩基の中の塩基である。(笑)

 

 

しかし、水酸化ナトリウムを第5段階で使うとなると、大きな問題が生じる。

 

水酸化ナトリウムは確かに酸を中和してくれるのだが、同時にサリンを分解してしまう。

 

そこで土谷は、分子軌道計算ソフトを使って、次の塩基を探した。

 

その候補がトリエチルアミンだったのだが、なぜか全くサリンが出来なかったらしい。

 

 

そういえば、この謎を解こうと思いつつ、そのままになってるなあ。

 

謎が解けたら、中川に教えてあげたいものなのだが。(笑)

 

 

トリエチルアミンでの失敗のあと、土谷が見つけ出したのがジエチルアニリンである。

 

これは問題なく、サリンを合成することができた。

 

経緯をまとめると次のようになる。

 

①4段階の反応 メチルホスホン酸ジクロリドを使用。→成功。

②5段階の反応 水酸化ナトリウムを使用。→第1段階成功。第5段階失敗。

③5段階の反応 トリエチルアミンを使用。→失敗。

④5段階の反応 ジエチルアニリンを使用。→成功。

 

この④の方法で、地下鉄サリン事件のサリンが作られた。

 

松本サリン事件のサリンは①の方法である。

 

う~ん、やっぱり土谷の手記、読んでみたいなあ。