一つの生だけでカルマの法則を説明しようとすると、どうしても矛盾してしまう。
なので、輪廻転生の考え方を持ち込むことによって、その矛盾を解消しようとするのが様々な宗教の考え方である。
かつて、というか今もそうなのかもしれないが、インドにおいては過去世の記憶を持って生まれてくる者たちが大勢いた。
そのため輪廻転生は、普通にある事が信じられていた。
輪廻転生によってカルマの法則が説明出来るために、あれをやってはいけないこれをやってはいけないという戒律が成立することになる。
そういえば、中学の時の社会の時間に習ったことを思い出した。
たしか2年生の歴史の時間の事である。
人類の歴史において、法律がどのように成立していったのか、という内容の話だったと思う。
まず、最初に語られたのが、法律成立以前はどうなっていたのかということだった。
法律とは、社会秩序を維持するために必要なものであるのだが、法律がまだなかった時代においては、皆が戒律を守る事によって社会秩序を保っていたという説明だったと思う。
汝、殺すなかれ。汝、盗むなかれ。
で、皆が安心して毎日の生活を送る事が出来る。
そういうルール作りが戒律の役目だった。
で、それを破った場合はどうなるのかというと、その犯罪者を皆でよってたかって集団リンチにして殺す。
そういう事になっていた。
しかし、それでも、上手く逃げ延びて、犯罪を繰り返すものもいた。
そこで、その犯罪者たちに思いとどまらせるために登場するのが、カルマの法則は輪廻転生しても追いかけていき、来世必ずその果報が返ってくるぞという考え方である。
この考え方は、まさに現代人にこそ必要なのではないかとも思うが、ルールを作って罰を与えるだけでは犯罪は決してなくなる事はないのだ。