第四段階。
メチルホスホン酸ジクロリドにフッ化ナトリウムを加える。
メチルホスホン酸ジクロリドの融点は31℃なので、オイルバスで加温する必要があると思われる。
フッ化ナトリウムは常温では固体だが、特に問題なく反応するのだろう。
何度も書いているが、フッ素>塩素なので、メチルホスホン酸ジクロリドから塩素が外れ、フッ化ナトリウムから外れたフッ素と結び付く。
それによって、メチルホスホン酸ジフルオリドが生成される。
メチルホスホン酸ジクロリドから外れた塩素と、フッ化ナトリウムから外れたナトリウムが結び付き、塩化ナトリウムつまり塩が生成される。
ここでの問題は、不純物である塩を取り除くことである。
土谷は必要量の半分のフッ化ナトリウムを入れて途中まで反応させ、いったん蒸留してから残りのフッ化ナトリウムを入れるという、二段階の蒸留でメチルホスホン酸ジフルオリドを精製している。
おそらくだが、反応自体は単純で、小学生レベルなのかもしれない。
しかし、生成されたメチルホスホン酸ジフルオリドは、サリンほどではないまでもすでに毒性を持っており、かなり危険な作業となっている。