スイートポテトコロッケ③ | 法友(とも)へ

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ここでのテーマは、ビックリさせるということである。


しかし、間違えてはいけないのは、歌舞伎町の住人たちをビックリさせるということではない、ということである。


ビックリさせる対象は、あくまでもグルである麻原である。


まあ、要するに、麻原をびっくりさせるという課題をクリアしさえすればよく、後は野となれ山となれなのだ。(笑)



ヴァジラヤーナにおいては、グルの意思の実践という事が絶対に外せないテーマである。


にもかかわらず、勘違いをするサマナたちが実に大勢いたのは事実である。



それは仕方のない面もある。


「ビックリする」という指示には、何の具体性もない。


麻原の指示はいつもこんな調子で、具体的は事は全て指示を受けた弟子が自分の頭で考えなければならない。


ヴァジラヤーナにおいては言われたことをやるだけだと言いつつも、その中身は全部自分で考えなければならないという、言葉の上では完全に矛盾した内容になっているのだ。




麻原は甘いもの好きである。


なので、スイートポテトで行くかと思ったのだが、そこでビックリするものという条件をクリアするために一ひねり必要になる。


これをコロッケにして揚げれば、ジャガイモのコロッケという観念を持ったまま口にすると、おそらくはビックリするだろうなと考えた。



しかし、それだけではまだ何か足りない気がする。


そこで、コロッケの衣をカスタードクリームにする事を思いついた。


ここまではいいのだが、サマナなので闇性食を口にすることは出来ない。


スイートポテトにしても、カスタードクリームにしても、味見をせずに材料の配合だけでどのくらいの味になるのかの見当をつけて作らなければならない。


まあ、いつものことなのだが、今までにやった事がない事を一発勝負で成功させるのは、ヴァジラヤーナにおいて当然の事ではある。(笑)



翌日。


何の説明もせずに、K正悟師にスイートポテトコロッケを差し出した。


K正悟師は「コロッケですか。」


と、つまらなさそうに言っていたが、まあ、普通はそんな感じの感想を持つと思う。


見た目はどう見ても、普通のコロッケなのだから。(笑)



しかし、コロッケを口にした瞬間、K正悟師は「あっ」と言って顔色が変わった。


当時としてはまだ珍しい、暖かいスイーツ。


「これは面白いですね。」


K正悟師はそう言いながら、「衣がちょっと違いますね。」


「これは何ですか?」と聞いて来た。



さすがとしか言いようがない。


オウム真理教最強の料理マニアの味覚は、恐ろしいまでに鋭かった。


僕が「カスタードクリームです。」と答えると、


「なるほど。」


「揚げカスタードは美味しいですからね。」


という答えが返って来た。