では、それぞれの原料を見ていこう。
最終段階のメチルホスホン酸ジフルオリドを除くと、それぞれの段階で4種類の物質があるということになる。
まあ、とりあえず、原料だけを見て、そこへ加えて反応させる物質の方は後で見る事にしよう。
第一段階
三塩化リン 25g 2,100円
第二段階
亜リン酸トリメチル 25ml 2,100円
第三段階
メチルホスホン酸ジメチル 25g 3,700円
第四段階
メチルホスホン酸ジクロリド 5g 9,200円
こうやって見てみると、当たり前の事だけれど後になるほど値段が高くなっている。
後になればなるほど、その分だけ反応を繰り返す必要があるからだ。
なかでも、第三段階から第四段階にかけて、一気に値段が10倍以上に跳ね上がっている。
おそらくだが、この段階の反応をさせるのが、他の段階よりもかなり難しいのだろうと予想出来る。
第四段階までの原料がこうやって普通に販売されているところから考えて、完成された合成方法がすでにあるということになる。
特に第一段階の、三塩化リンから亜リン酸トリメチルを作り出すところは、値段から考えてかなり簡単な反応なのだろう。
いずれにせよ、途中までの段階なら、化学の専門家にとってたやすい作業だと思われる。
まあ、オウムの事だから、当然に値段の高いものは買わない。(笑)
そして、人件費はただという考え方をする。
したがって、値段の安い最初の段階の原料を買うということになる。
第一段階の三塩化リンと第二段階の亜リン酸トリメチルは、固体と液体の違いはあるがほぼ同じ量だと言える。
値段が同じで反応が一段階進んでいるのであれば、最もコストパフォーマンスが高いのは第二段階の亜リン酸トリメチルという事になる。
そして、教団が大量に購入したのが、まさにこの亜リン酸トリメチルだったのだ。