一瞬、視界が真っ暗になり、その中に白い火花が散る。
それが先だった。
次に、股間が爆発したような衝撃に続いて、雷に打たれたような電撃が全身を走る。
そして、内臓の奥にまで伝わる、鈍い痛み。
ここまで来てようやく、本体の痛みを感じることが出来た。
一体、何が起こったんだ?
それが何かは分からないが、痛い!
痛くて、動けない!(笑)
僕は、よれよれのお爺さんの様に腰をくの字に曲げ、あごを突き出していた。
両手は何かにすがりつくように、空中をさまよう。
まさか、アーチャリーは勢いよく走ってきて、そのまま顔面から僕の股間に突っ込んだのだろうか?
いや、違う。
あの時、アーチャリーは、右へよけたはず。
ということは、右ストレートか?
アーチャリーが視界から消える瞬間、すれ違いざまに右ストレートを叩き込まれたのか。
見えなかった。
油断した。
完全に力を抜いているところへ、手加減抜きの全力の拳を叩き込まれてしまった。
内臓の奥の痛みは、ズキンズキンどころか、ドカンドカンと激しさを増している。
危なかった。
もし、あと一センチ深ければ、死んでいた。(笑)
目を開けたまま暗闇の中に沈みながら、僕は固まったまま動けずにいた。