卵焼き④ | 法友(とも)へ

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焼き色の付かない卵焼きを焼くにあたって、寿司職人のサマナから「出来るんですか?」と聞かれた。


それで、「出来るか出来なきないかじゃない、やるんだよ。」


と答えておいた。



この辺の考え方の違いが、直弟子と普通のサマナの違いということなのだろう。


出来て当たり前。


麻原からの指示に対して、「出来ません。」という答えはない。




温度変化のデータに目を通してみると、センサーの感度がいいらしく温度上昇は緩やかになっている。


これなら焦がす心配はなさそうだ。


水は完全な液体だから、対流する事で全体が割合均一に熱が通る。


しかし、卵はそうではない。


熱が伝わりにくい分、ゆっくりと温度を上昇させる必要がある。



卵液が固まるのは70度以上だが、70度ではまだ柔らかく完全に固まるとは言えない。


だからといって、90度以上にまで温度が上昇すると、今度は卵が固くなってしまう。


卵を完全に固めて、それでいてふんわりと柔らかく仕上げる。


そのためには、温度上昇を80度で止める事が必要になるだろう。



データから、ボリュームを調整して、約20分で80度にまで温度が上昇すると予測した。


卵焼き器の内側に油を引いて、卵液を流し込む。


そして、蓋を閉めて、スイッチオン。



20分後確認してみると、予想以上に温度が低い。


なので、さらに10分追加焼きして、その後電源を切り10分間蒸らす。


これで焼き上がりなのだが、取り出してみるとどこにも焼き色のない、それでいてしっかり固まった黄色い卵焼きが出来上がっていた。



さっそくK正悟師が一切れ食べてみて、「予想通り、完璧です。」


とご満悦だった。


K正悟師は、「CSIにお礼を言いに行ってきます。」と言ってサティアンへ行ったので、僕は2枚目の卵焼きに取り掛かることにした。



階段の下でごそごそやっていると、CSIのサマナがやって来た。


「あれで焼けたんですか?」と、ビックリしたような様子で聞いてきたのが妙に可笑しかった。(笑)。


「うん、大丈夫だよ。」


と答えると、「噂は本当だったんですね。」


「R師に任せれば、何とかしてくれるって聞いてたんですよ。」


と言っていた。


誰だよ、そんな変な噂を流している奴は。(笑)



2枚目の様子を見に行くと、20分でほとんど固まりかけていた。


なるほど、連続してヒーターを使っているために、予熱してから焼いている状態になっているのか。


これなら追加焼きは5分で十分だな、と思っているところへ村井がやって来た。


K正悟師から報告を受けたらしく、僕の顔を見るなり、


「君がやってくれたんか、有難う。」


「さすがやな。」と言った。



ここが村井の凄さなのだと思う。


自分よりステージの低いものであったとしても、認めるべきものはきちんと認める。


まあ、失敗続きのCSIとしては、数少ない成功例なのだから当然の事なのかもしれないが。(笑)