ついでにもうひとつ、頼まれネタを書いておこう。
シヴァ大神際か何かだと思ったが、サマナ全員が第六サティアンに集まって、バイキングパーティーをやったことがあった。
もちろん、牛丼も食べ放題である。(笑)
この時、麻原が何を血迷ったのか、寿司を握ると言い出した。
一個一個にエネルギーを込め、サマナのカルマに合わせてネタを選ぶというものである。
麻原は目が見えないのだがそういうシステムなので、握ってもらう前にひとりひとり名前を名乗らなければならないのが面倒くさいのではあるが。(笑)
ネタはもちろん、殺生された様々な種類の魚達なのだが、卵もあった。
これは、魚の卵などではなく、ニワトリの卵である。
で、例によって例のごとく、数日前からK正悟師から電話がかかってきて、「手伝って下さい。」ということなので、支部活動をほっぽって富士山総本部道場へ出かけることになった。
僕の他にも何人かいて、それぞれに受け持っているものをなんだかんだと作っていたのだが、卵を焼くという段階でK正悟師から見て欲しいというお呼びがかかった。
卵の担当は、元寿司屋というサマナ。
この男の厚焼き卵の焼き方は、まさに神業と言ってもよかった。
普通卵焼きと言えば、だし巻きのことなのだが、麻原の指示は厚焼き卵だった。
要するに、巻かずに卵を焼き上げろと言っているのだ。
僕はこのサマナの職人技を目の前で見ていたのだが、それは見事という他はなかった。
コンロの上の四角い卵焼き器に卵液が流し込まれ、しばらくそのまま。
強火なのだが、上のほうは全く固まっていない。
そこへその職人は、鍋の真ん中あたりの端っこから菜ばしを入れたかと思うと、ひょいと上に持ち上げた。
すると、あら不思議、鍋の底の方で熱を通されて固まった卵が、1枚の板の様になってくるっと180度回転して上に乗っかった。
そして、それまで上の方にあった卵液は下になり、コンロの熱で焼かれることになった。
こうやって、出し巻きなら必ず出来る年輪のような焼き目のない、厚焼き卵が完成した。
これを斜めに切って、寿司ネタにするということだった。
見事に完成かと思いきや、僕と一緒にこれを見ていたK正悟師は、すぐさまダメ出しをした。(笑)
どうやら麻原は、焼き目のない黄色い卵焼きを作れと言っているらしい。
なので、K正悟師は僕に向かってこう言ったのですよ。
「サマナは出来ないみたいなので、R師お願いしますね。」(笑)
はい?
何の話でしょうか?
なんか、嫌な予感がする。(笑)