楽しいバカンスも終わり、スーツに着替えるなどしてみんなで帰り支度をしていると、端本がおみやげを持ってきた。
10本が束になったアンプルだったが、全部で20種類ほどあった。
それを各自、ひとつかふたつをスーツのポケットに入れていく。
ほとんどが茶色い光を通さないタイプのものだったが、なかには透明なガラスのものもあった。
もちろん、違法に日本へ持ち込むための事だとは思う。
中身が何であるのかは、ロシア語で書かれてあるために分からない。
試しにロシア人通訳に中身が何か聞いてみたが、ひとつがいわゆるヨードチンキだということが分かっただけだった。
残りはそれが何かは分からない。
もっとも日本人でも、シアン化ナトリウムとか窒化ガリウムとか言われても、それが何なのかはわからないだろう。
おみやげはもうひとつあった。
なんだかよく分からないが、ロシア軍が使っている測定器のようなもの。
馬鹿でかいトランスが付いていて、かなり重い。
これには村井から指名されたというCSIのサマナひとりだけが専門で担当していた。
そのままだとロシア国外へ持ち出せないので、3つに分解して別々に運び、日本へ付いてから組み立て直すという。
まあ、こちらには関係のない話だ。