リベンジマッチは思っていた以上に好勝負となった。
見ている方は将棋の面白さを満喫出来たが、やっている方は大変だったろうなと思う。
それにしても習甦は名局製造機ですなあ。
前回MVPを獲得したのが分かる気がする。
もうこうなったら、菅井プロには勝てるまでリベンジし続けてもらいたい。(笑)
全部を解説していると長くなるので要所要所だけでいきたいと思う。
74手目の1二玉について、ここまではとりあえず互角の展開だが、面白いことに激指はこの手を悪手と判断している。
ここで先手有利となるのだが、ところがこの後の9六歩がこれまた悪手で形勢互角に。(笑)
で、勝負どころの後半に入って、89手目の6二角成これがいわゆるぬるい手。
自分で飛車の横利きを止めてしまっている。
おまけにこの後、5三成銀と入るのだから、6二角成とせずに5三成銀と入るのに比べて一手遅れてしまっている。
おそらく、これが敗着になったのだと思う。
単に5三成銀と入ると、6一金打の両取りが見えているが、それは7五飛成としておけば問題はないし、3二飛成と攻める手もある。
続いて、95手目の7八飛、この手もぬるい。
逃げるなら4八だろう。
それがだめでも、せめて6八に逃げて相手の馬に当てておかないと先手が取れない。
113手目の3二飛成、これもまた悪手。
ここは6二飛上成とすべきだった。
まあ、この後も熱戦が続き、人間の目で見れば先手が勝ちそうにしか見えないのだが、激指の解析ではずっとコンピュータ有利の状態が続いており、終盤でこれだけの差をつけられたら絶対に挽回は不可能と言えた。
そして、後手の2五角打ち。
この狙いは、6九角成、同飛に4八飛と打ち込み、王手成り銀取りで相手の攻めゴマを全部取ってしまうということ。
これに対する3六歩がこの対局最大の悪手。
これで完全に先手が崩壊した。
142手目、3二金と銀を取った手が詰めろ。
3四金と上がって、7五角を消したが、所詮は時間の問題。
141手目2四歩のところで4一角としておけば、詰み上がりの8五桂を防いではいるのだが、これ以上勝負が長引いても人間側の体力も精神力も持たないだろう。
全体を振り返ってみても、やはり菅井のミスが目立つ。
習甦はじっくり指すタイプのソフトなので、一気に止めを刺しに来ることはないが、見た目以上に力の差はあるのだろうと思う。