ボツリヌス培養プラント21培養開始からすでに10数時間が経過していた。 数十個のデータが集まり、どのような経過をたどっているかは一目瞭然に思える。 計測された数値は毎回上昇を続け、グラフは右肩上がりの綺麗な直線を描いていた。 培養開始から丸1日が経過した頃、遠藤がやってきた。 記録されたデータを一通り見た後、「順調だね。」 と、満足げに一言だけ言って帰っていった。 もう間違いない。 遠藤に言われなくてもはっきり分かる。 培養液の中で、何かが少しずつ増え続けていた。