ボツリヌス培養プラント⑰ | 法友(とも)へ

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サマナとふたりで、「立ち入り禁止だよ。」とか、「ダメダメ、入っちゃダメ。」とか言いながら近づいていくと、その男は「あ、分かってます、分かってます。」と言って手で制するようなしぐさを見せた。


話を聞いてみると何のことはない、大日本インキの人だった。


どうやらオウムの印刷工場の噂を聞きつけて、その場所がどこなのか知りたかったらしい。



「まだ工場は稼動してないから帰ってくれ。」と言うと、


「分かってます。秘密なんですよね。分かってますよ。」と一人で納得していた。


それから、「これが印刷工場かあ、大きいなあ。やっと見つけたあ。」


としきりに感激していたようだけど、それボツリヌス培養プラントなんだよねえ。




余計なことで時間をとられてしまったが、僕はコンテナでの作業に入ることにした。


コンテナの内部は建設用の資材が置かれていた。


真ん中には通路があったが、左右には物が置かれ奥が見えないようになっている。



右側の奥にはドラム缶が置かれ、左側にはテーブルの上に実験器具が並んでいた。


確かに広瀬が言っていたように、いつもどおりのワークだなと思いながら作業をこなしていく。


ドラム缶の内部をアルコール消毒して紫外線ランプを照射。


ポンプも同様に消毒して、ドラム缶の中に入れた。



次にベルト型ヒーターをドラム缶に巻きつけ、シリコンシーリング材で固定する。


センサーは内部にたらし、温度は37度に設定する。


ポンプが熱を持たないように、15分おきにオンオフを繰り返すようにタイマーをセットする。



そこへ広瀬が圧力鍋を運んできて、その中身をドラム缶の中へ入れた。


圧力鍋の中身は、滅菌されたペプトンの水溶液だった。