身の回りでいろんな事が起こり、なんだか慌しく時間を過ごしていたころ突然中川がやってきた。
相変わらずサティアン内を自由に出入り出来るんだ、凄いなこの男はと思った。
中川は話を切り出してきた。
「実は新しいイニシエーションが完成したので、受けていただきたいんです。」
麻原からの御指名で僕にイニシエーションを受けさせるようにということらしい。
へぇ~と思ったが、特に深く考えることはなかった。
中川についてサティアンの2階に行ってみると、すでに広瀬が待っていた。
中川は点滴を用意すると、僕と広瀬の腕に針を突き刺した。
「20分かかりますので、シャヴァアーサナをとっていてください。」
どんな凄いイニシエーションなんだろうと期待しながら待っていたのだが、特に何も体験はなく終わってしまった。
そのことを中川に話すと、「光の体験をされた方もいるんですけどね。」といいながら、なんだか申し訳なさそうな表情に思えた。
このときの中川の表情と、体験がなかった理由は後になってから分かることになる。